最終更新日:2020/09/19

エンジニアへの転職を検討されている方の中で、

  • SESという言葉を知ったけど、意味がよく分からないから知りたい
  • SESの職場で働くとどうなるか知りたい

という方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

DAI
この記事では、SESについて解説していきたいと思います。

SESってなんぞや?

SESとは、システムエンジニアリングサービス(System Engineering Service)の略です。

エンジニアをクライアントに「請負契約」で派遣する業態のことを指します。

シンプルに、エンジニアを派遣する業態だと理解してください。

例えばクライアントA社が存在するとします。

クライアントA社では、エンジニアの人手が足りていません。そこで、SESの会社Bさんに依頼を出します。

クライアントA社
B社さん、エンジニアの数が足りていないので、2-3人、60時間分、8000円/時間で派遣してくれませんか?
SES B社
よろこんで!

SESの会社Bは、クライアントA社に、自社のエンジニアを派遣します。これがSESです。

SESでよく言われる、2次請け、3次請けとは?

さてさて、クライアントA社さんは、SES会社Bにエンジニアの人材派遣を依頼しました。

一方で、SESの会社B社には、今エンジニアが足りていないのです。

SESの会社B
ん~困ったな。人員が3人必要なんだけど、今うちではみんな稼働していて、送客できないな….

そこで、SESの会社Bは、SESの会社Cに連絡します。

SESの会社B
人員が2人必要なんだけど、御社でエンジニア余っていませんか?….6000円/時間でお願いしたいです!

そこで、SESの会社Bから依頼を受けたSES会社Cは、人員を二人派遣することになります。

これを図に表すと、こうなります。

形態 報酬
SES会社B 元受け ¥8,000 / 時
SES会社C 二次受け ¥6,000 / 時

このように、SES会社Bは、人員を一人も派遣していないのに、SES会社Cの中間マージン2000円/時間を中抜きすることができます。

中抜きが大量発生するSESの「多重請負」問題

では、もとに戻りましょう。

さきほどのマージンを見ると、2000円分何もしていないのに中抜きされていますよね?

このように、SES B社は、クライアントにSES C社の人材を派遣していることになります。

これを、多重下請構造、多重請負構造と呼びます。

SESの多重下請は、違法ではない?

派遣(SESとの違いは後述)の場合、多重派遣は、法律で禁止されています。理由は、

  • よけいなマージンを挟むことで、労働者に不利益を与えたくないから
  • 従業員の危機管理責任があいまいになるから

なんです。

ただし、SESの多重下請は、多重派遣とやっていることは実質一緒なのに、実は違法ではないんです。

それはなぜか。

多重派遣は、「派遣契約」に関しては適応されますが、「業務委託契約の請負契約」には、適応されないからです。

SESの請負契約と、派遣契約の違い

なぜ同じ人を派遣しているのに、SESの多重請負は違法ではないのか?

それはSESは「請負契約」ですが、派遣は「派遣契約」だからです。

実質客先常駐な点は一緒なのですが、SESは派遣先が指揮権(具体的な業務を指示出しする権利)を持っていません(持っていないことになっています)

請負契約 派遣契約
指揮権 自社(SES企業 B) 派遣先(クライアントA)
多重派遣(多重請負) 多重請負は法律的にはOK 多重派遣は法律的にNG

SES企業の場合、SES社員を雇っている会社側が指揮権を持ちます。

指揮権とは、具体的な業務の指示です。例えば、

  • 残業が必要なので残業してください
  • 日報を書いてください

などですね。SESの場合は、SES会社の人が指示することはできるのですが、派遣会社の場合は指揮権がないので、本来は指揮(指示)することができないのです。

一方で、派遣契約の場合は、指揮権を派遣先が持っています。

派遣契約のように、指揮をしていたら「偽造請負」

SESはあくまでも業務委託契約の請負契約なので、指揮権は自社(SES企業)にあります。ですので、派遣先が直接

  • 納期が迫っているので残業してください
  • 日報を書いてください

という風に言うことは、通常できません。なぜなら指揮権がないからです。

業務の指示は、指揮権を持っているSES企業の指揮権者(上司)以外は行うことができないのです。

でも、例えば派遣先(クライアント企業)がSES企業の社員に、

  • 納期が迫っているので残業してください
  • 日報を書いてください

こう命令をすると、偽装請負になります。

偽装請負は、労働者派遣法違法行為になります。

SESの偽装請負によるデメリット

とはいえ、SESの偽装請負は、なかなか告発しにくく、偽装請負が横行していることもあります。

たとえば、もともとは8時間の労働時間の契約で、炎上プロジェクトにSESに入ったとします。

クライアントA社
ゴラァ、来週納品のシステム、テスト通ってないぞ!どうすんねん!今日は徹夜じゃ!!

そんな中で、

DAI
すいません、一応請負契約なので、残業については指揮権を持っている上司に相談してください!

なんて言いにくいんですよね。そもそも上司が現場にいるわけでもないので。

ただ、そこで残業してしまっても、残業代は出ないんです。

なぜかというとSES企業が指揮をしたわけではなく、本人が自主的に残業しているように取られるからです。

そうすると、例えばせっかく派遣先の命令で残業したのに、残業をつけられないこともあります。

SESとSIer、自社開発の比較

次にSES、派遣、SIer、自社開発の比較です。

SES SIer 自社開発
働く場所 客先常駐 自社 自社
作成する成果物 クライアント クライアント 自社
プロジェクトの長さ 短期 短期 長期

SESの場合

SES、派遣は基本的には客先常駐で、クライアント先によって仕事内容が変わります。

また、プロジェクトごとに仕事内容が変わります。一緒に仕事をする相手は、クライアント先になります。

SESのメリット

SESのメリットとしては、

  • 単スパンで複数の現場に移動できるので、様々な技術セットを、いろいろなシステムや人から学べる
  • 比較的実務未経験でも入社しやすい

SESの場合、派遣すればすぐに売上が経ちます。

ですので、スキルがそこまでなくても、売上が立つのがSIer、自社開発との大きな違いです。

そのため、比較的未経験でも就職しやすいというメリットがあります。

SESのデメリット

SESのデメリットは、

  • 基本的には客先常駐で、かつ自社の人員がいないので、孤独になりやすい点
  • 心理的安全性を保ちながら教えてくれるような人が現場にいない可能性がある点
  • 案件によって、ガチャがある
  • 会社によっては開発経験が積めない可能性がある
  • 偽装請負が起こっている可能性がある点
  • 案件がないと、自宅待機になり、給与が削られる点

などが挙げられます。

SES企業の案件によっては、ほとんど最下流の、テストケースをただなぞるようなテスターだけの仕事しか任されないことがあります。

そうなると、開発をしたくて転職する人にとっては苦痛の可能性があります。

特に、コロナの影響で、案件が減少した場合、派遣先が存在しなくなります。

そうすると、お給料が減額されることもあるので、注意が必要です。

 

SIerの場合

SIerの場合は、受託開発がメインになります。プロジェクトごとに受託案件を行います。一緒に働くのは、自社のメンバーと働くことがメインとなります。

また、案件もクライアントの案件が終わり次第別案件に移行するので、比較的単スパンで案件が変わります。

SIerのメリット

SIer企業で働くメリットとしては、

  • 自社での開発ノウハウが貯まっているので、技術を学習しやすい点
  • 受託開発がメインなので、技術を専門に学べる点

があります。

SIerのデメリット

SIerのデメリットとしては、

  • 自社でサービスを持っているわけではないので、顧客が使っている様子が見えにくい点
  • 長期的な保守、運用に携われるとは限らないので、よりメンテナンス性の高いコードを書く機会が失われる点
  • 自社の得意範囲以外の技術を学ぶ機会が少ない点

などが挙げられます。

自社開発の場合

最後に、自社開発の場合は、自社のサービス、Webサイトなどの開発がメインになります。自社サービスが一つの場合、ずっと同じサービスを作り続けることになります

そのため、一つのアプリケーションを長期間で創っていくことになります。

自社開発のメリット

自社開発のメリットとしては、

  • 1つのサービスを作り続けることで得られる保守性の高いコードを書く機会が得られやすい点
  • エンドユーザーが見えやすい点

自社開発のデメリット

自社開発のデメリットとしては、

  • 複数のサービスに携わることができないため、一つのプロダクトがスキではないと続かない点
  • 複数の技術を扱う機会が少ない点
  • マーケティング、企画など様々な部門とのコミュニケーションが必要になるため、開発だけに集中しにくい点

などが挙げられます。

SESの会社はやめておいたほうがいいのか?

よく、ネットを見ていると、SESの会社は辞めておいたほうがよい!という意見を多く見ます。

僕個人の意見としては、「そんなの会社による」と思っています。

とはいえ、こんな感じのSES企業への就職はやめたほうがいいと思います。

  1. 多重請負構造になっている場合=取引先がSES企業ばかりの場合
  2. 代表がエンジニアリングの経歴がない場合
  3. 入社してもエンジニアとしての実務経験を積めない場合

①多重請負構造になっている場合=取引先がSES企業ばかりの場合

基本的に、多重請負構造になっていると、年収が低くなります。

マージンで抜かれているためです。

そういう会社の取引先は、基本的には提携しているSESがメインになります。

そのような会社は、労務的にも年収的にもあまりよろしくないとは思うので、やめておいたほうがよいでしょう。

逆に、なるべく直請けになるような企業努力をしているSES企業もあります。

そういう会社をしっかり調べて、転職活動をするのがおすすめです。

②代表がITへの理解がない場合=エンジニア業界のバックグラウンドがない場合

これは人によりますが、社長がITへの理解がないSES企業は辞めておきましょう。

こういう会社は、「ITに投資しない会社」が多いです。

ITに投資しないということは、とにかく大量の人を安く採用しようとします。

そういう会社の場合、なかなかエンジニアとしての実務経験をつみにくいでしょう。

③入社してもエンジニアとしての実務経験を積めない場合

一番これが大事かと思います。

結局入ってもコードを書かせてもらえない会社だと、ただ安月給の会社になってしまいます。

これは入社する前に、必ず確認しておきましょう。

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