SIerはやめとけ?オワコン説の真偽や向き・不向きについて徹底解説!
今回はこのような悩みを持っている方に向けてお話していきます。
この記事を読んでわかることは以下です。
- SIerはやめとけと言われる3つの理由や将来性
- SIerが向いていない人の特徴2つ
- 避けるべきSIer企業の特徴3つ
- SIerからの転職におすすめのキャリアプラン
- 転職に役立つエージェント3選
SIerの需要は今後もなくならないことが予想されますが、現状の収入や労働環境に不満がある場合は、他の選択肢を考えるのも一つの手です。
目次
SIerはオワコン?やめとけと言われる3つの理由
「SIerはやめとけ」と言われる背景には、主に3つの理由があります。
- SIerのビジネスモデルは努力が昇給につながりにくいから
- プログラミングをする機会が少ないから
- 開発に創意工夫の余地がないから
それぞれの理由を解説します。
1. SIerのビジネスモデルは努力が昇給につながりにくいから
「SIerはやめとけ」と言われる1つ目の理由は、努力が昇給につながりにくいためです。
その背景には、次のようなSIer特有のビジネスモデルが関係しています。
- 労働集約型である
- 新しい技術を取り入れにくい
- 多重下請け構造である
SIerの売上は、働く時間によって変わる労働集約型のビジネスモデルです。
また安定した開発を実現するために、SIerでは新しい技術を取り入れにくい傾向があります。
新しい技術は少なからずリスクをともないます。
たとえば新しい技術を開発中のシステムに取り入れても、既存システムとの相性が悪ければ、開発がスムーズに進みません。
開発できたとしてもシステムのリリース後に障害が起こる恐れもあります。
さらに3つ目に挙げた「多重下請け構造」も、SIerのビジネスモデルにおける問題点です。
SIerには下記のように複数の下請け企業が存在します。
- 一次請け(元請け)
- 二次請け(下請け)
- 三次請け(孫請け)
- 四次請け(ひ孫請け)
直接クライアントから発注されるSIerが一次請け(元請け)です。
一次請けはクライアントとの打ち合わせや設計に集中するべく、二次請けに開発を依頼します。
さらに二次請けは人員不足や効率化のため、開発の一部を三次請けに外注する……といった構造ができています。
仲介するSIerが多くなるからといって、発注元から報酬がさらに支払われることはありません。
下請けになるほど報酬は低くなるため、いくら努力しても給料アップは期待できないのです。
またSIerは他社から発注されたものを納品しますが、同じようなSIerは多く存在します。
上記のようにSIerのSEとして個人がいくら努力しても、ビジネスモデル的に昇給しにくいのが現状です。
2. プログラミングをする機会が少ないから
プログラミングをする機会が少ないことも、「SIerはやめとけ」と言われる理由の一つです。
プログラミングの機会が少ないのは、下記の傾向があるからです。
- SIerはマネジメント寄りの業務が多い
- ノンコード開発が発展している
SIerによっては、開発のプログラミング部分を他社に委託しているところもあります。
その場合は次のような上流工程の業務を中心に行います。
- クライアント要件のヒアリング
- 要件定義
- 設計
特に大手SIer企業や一次請けSIerの業務は、マネジメント寄りです。
新卒で入社した後の数年は、研修などでプログラミングをする機会もあります。
しかし、次第にマネジメント業務がメインになるため、技術的なスキルや経験を積みにくいのです。
またプログラミングの機会が少ない背景として、ノンコード開発の発展も関係しています。
SIerがプログラミングを行う機会は、今後ますます減ると予想されます。
そのためプログラミングスキルを磨きたい方は、中小企業のSIerやWeb系の会社を選ぶようにしましょう。
3. 開発に創意工夫の余地がないから
「SIerはやめとけ」と言われる3つ目の理由は、開発に創意工夫の余地がないからです。
SIerではクライアントの要望や設計書に従い、システム開発を進めることが求められます。
しかし、二次請けや三次請けになると、工夫できる点や改善点があったとしてもシステムに変更を加えることはできません。
また開発の際に多く取り入れられているウォーターフォール型の開発では、工程を遡ることは不可能です。
直接クライアントと交渉する立場でないと、自分なりの工夫やアイデアを開発に反映するのは難しいといえます。
やめておいた方がいいSIer企業3つの特徴
特にやめておいた方がいいSIer企業には、以下3つの特徴があります。
- 20〜30代が極端に少ないSIer企業
- 二次請け以下のSIer企業
- トレンド技術を取り入れないSIer企業
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 20〜30代が極端に少ないSIer企業
20~30代が極端に少ないSIer企業はやめておくことをおすすめします。
なぜなら年功序列が根強く、若手が活躍しにくい環境の可能性があるからです。
年功序列の意識が強い企業の場合、どれだけプロジェクトで成果をあげたりクライアントに高い評価をもらったりしても、給料は上がりにくくなります。
優秀な人材でも低収入で働かなければならないので、結果的にモチベーションを維持できず、退職することになるのです。
SIer企業の求人情報や会社のホームページを見て、20〜30代の若手社員が少ないと感じたら避けておきましょう。
2. 二次請け以下のSIer企業
二次請け以下のSIerもやめておくべきといえます。
なぜなら多重下請け構造により、下請けになるほど給料が低くなる傾向にあるからです。
また二次請け以下になると、クライアントやユーザーと直接的なやり取りが発生しません。
クライアントやユーザーの要望や評価が分かりにくいので、やりがいやモチベーションの低下につながります。
たとえば「納期を早めて欲しい」とクライアントから要求された場合を考えてみましょう。
この場合二次請け以下のSIerは、一次請けを通して納期の変更を伝えられます。
その結果、納得のいかないまま納期の変更に応じる場面が増え、不満や不信感が募りやすくなります。
そのためSIerで高収入やモチベーションアップを目指すなら、できるだけ一次請けのSIerに就職するのがベターです。
3. トレンド技術を取り入れないSIer企業
トレンドの技術を取り入れないSIerも、おすすめはできません。
IT業界は変化が非常に激しい業界です。
積極的に新しい技術を取り入れていかないと、生き残っていくのは厳しくなってしまいます。
トレンドの技術もキャッチアップしているSIer企業を選びましょう。
SIerが向いていない人の2つの特徴
SIerに向いていない人の特徴は以下の2点です。
- マネジメントより開発・プログラミングをしたい人
- 環境や人間関係が変わるのが苦手な人
それぞれ解説します。
1. マネジメントより開発・プログラミングをしたい人
開発やプログラミングをしたい人には、一次請けのSIerはおすすめできません。
一次請けのSIerでは、下記のようなマネジメントやクライアントとの交渉がメインになります。
- クライアントとの打ち合わせ
- 予算・スケジュール調整
- 仕様書・資料・ドキュメントの作成
- プロジェクトメンバーの管理
そのためプログラミングに注力したい人は、収入面を考慮したうえで二次請けのSIerを探すことをおすすめします。
2. 環境や人間関係が変わるのが苦手な人
働く環境や人間関係が頻繁に変わるのが苦手な人も、SIerは避けたほうが無難です。
SIerの働き方は案件を自社内で請け負う場合と、クライアント先で仕事をする「客先常駐」の2通りに分かれます。
客先常駐のプロジェクトに参画した場合、労働環境や人間関係が頻繁に変わります。
あるプロジェクトはスケジュール通りに進められて人間関係が良好だったとしても、他の環境に移った途端、メンバーとのやり取りがうまくいかなくなることも。
SIerの将来性はあるが、企業選びが大切
ここまで「SIerはやめとけ」と言われる理由や向いていない人の特徴を解説しましたが、SIerの将来性は十分にあります。
近年はDX化の推進にともない、多くの企業がITシステムを用いた業務効率化を目指しているのが現状です。
一方、社内で修正できない状態の既存システムを抱えている企業も多く、今後数年で新システムへ移行するプロジェクトが増えることが予想されます。
またSaaSのようなクラウドサービスが普及していますが、サービス導入後に適切な運用をするためには、ITの知識やスキルが必須です。
そのため開発から保守運用まで請け負えるSIerの強みを活かし、クラウドサービス活用のコンサルティングなどの依頼を受けられる可能性もあります。
ただ「やめておいた方がいいSIer企業3つの特徴」で述べた通り、SIerならどこでも良いわけではありません。
以下のようなSIer企業を選ぶことが大切です。
- スキルアップできる環境が整っている
- 最先端技術を取り入れる姿勢がある
- 若手社員が活躍しやすい組織風土がある
【結論】SIerでエンジニアの基礎を学ぶのはアリだが、長居はやめた方がいい
結論からいうとSIerに長くとどまることは推奨できません。
「SIerはオワコン?やめとけと言われる3つの理由」でお伝えしたように、ビジネスモデルに課題があるためです。
一方で、SIer企業は基本的な技術力やマネジメント力を身につけるのに適した環境といえます。
プログラミングやIT知識を習得する研修を受けられたり、さまざまなプロジェクトを通してクライアントとの接し方や問題解決力を養えたりできるからです。
またSIerは親会社の業種によって、以下の3種類に分類されます。
- 独立系SIer:親会社を持たないSIer
- メーカー系SIer:親会社がPCやハードウェアメーカーのSIer
- ユーザー系SIer:親会社がPCやハードウェアメーカー以外のSIer
上記それぞれのSIer企業でエンジニアとしての基礎を学べば、その後のキャリアパスは豊富にあります。
Slerからの転職におすすめのキャリアプラン5つ
Slerから転職する際に、おすすめのキャリアプランは以下の5つです。
- Web系自社開発企業のエンジニア
- SIerではない小規模な受託開発企業
- 社内SE
- ITコンサル
- 起業・フリーランス独立
それぞれのキャリアについて解説します。
1. Web系自社開発企業のエンジニア
まずおすすめするキャリアは、Web系の自社開発を行うエンジニアへの転身です。
Web系エンジニアはスマートフォンやPCで使う、自社製アプリの開発を行います。
SIerがクライアントの要望を実現するためにシステム開発を行うのに対し、Web系自社開発企業は社内でサービスやシステムの改善が可能です。
利用者の意見や反応を見て機能を追加したり、修正したりできるため、やりがいを感じやすくなります。
またWeb系の自社開発を行う企業は設立したばかりのベンチャー企業も多く、若い人が活躍しやすい傾向にあります。
2. SIerではない小規模な受託開発企業
SIer以外の小規模な受託開発を担う企業もおすすめの一つです。
小規模な受託開発の企業は、下記のようなモダンな技術を扱っていることが多いためです。
- Ruby on Rails
- Laravel
また要件定義・設計・開発・リリース後の保守運用まで、幅広く対応できる機会も得られます。
新しい技術に触れたい方は、小規模な受託開発の企業を視野に入れてみましょう。
3. 社内SE
Slerからの転職におすすめのキャリアの3つ目は、社内SEです。
社内SEのクライアントやユーザーは、他社ではなく自社の社員です。
そのため客先常駐の案件よりもユーザーの意見や要望を直接聞くことができ、感謝されやすいという特徴があります。
また働く場所や人間関係がほとんど変わらないため、一つの環境で長く活躍したい人にも向いています。
4. ITコンサル
SIerで培った知識やマネジメント能力をもとに、ITコンサルとして仕事をする選択肢もあります。
ITコンサルとはクライアントの経営や業務上の課題を、ITで解決するコンサルタントです。
下記のように多岐に渡る仕事を担当できるため、幅広い知識や論理的思考力、コミュニケーション力が身につきます。
- 企業の課題や経営戦略のヒアリング・分析
- 課題を解決するシステム導入などの提案
- プロジェクトチームのマネジメント
5. 起業・フリーランス独立
Slerで働いた後のキャリアとして、起業やフリーランス独立の道もあります。
システム開発の案件を請け負うという意味では、会社員もフリーランスも変わりません。
請け負う先が会社から個人になるだけなので、設計・開発・運用など一連の業務経験があれば、フリーランスとして案件を受注することは可能です。
SIerからフリーランスになる方法は以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご一読ください。
ここまで読んで「SIerから転職しようかな……」と考えている方は、転職エージェントを活用してみることをおすすめします。
IT業界に精通したキャリアアドバイザーが在籍しており、求職者にぴったり合った求人を紹介してもらえるからです。
キャリアプランが固まっていない状態でも一緒に考えてくれるため、まずは相談してみることをおすすめします。
SIerからの転職におすすめのエージェント3選
前述した通り、SIerから転職したい場合は転職エージェントを利用するのがおすすめです。
志望企業に合わせて書類添削や面接対策を行ってもらえるため、採用担当者に効果的なアピールがしやすくなります。
今回はSIerからの転職に役立つ転職エージェントを、下記の3つ厳選しました。
- ワークポート
- マイナビ ITエージェント
- リクルートエージェント
詳しく見ていきましょう。
1. ワークポート
ワークポート公式サイト:
https://www.workport.co.jp/
拠点 | ※現在はリモート対応化 (2021年9月現在) 東京 / 札幌 / 仙台 / 埼玉 / 横浜 / 千葉 / 名古屋 / 大阪 / 京都 / 神戸 / 岡山 / 京都 / 神戸 / 岡山 / 広島 / 福岡 |
求人数 | 約7.7万件(2022年6月現在。非公開案件を含む) |
強み | ・元IT専門の転職エージェントのため、 IT業界のキャリアカウンセリングがかなり詳しい 親身な対応をしてくれる ・求人数も大手並に多い |
おすすめな人 | ・IT業界に未経験から転職したい人 ・IT業界の求人を幅広く得たい人 ・IT業界全般に強いアドバイザーを求めている人 |
公式URL | https://www.workport.co.jp/ |
ワークポートはIT業界の求人に強いことで評判の総合型エージェントです。
ワークポートの大きな魅力は求人数が豊富な点と、キャリアアドバイザーがIT領域に詳しい点です。
各職種の求人を検索したところ、下記の通りでした(2022年6月3日時点)。
- 社内SE:1,112件
- ITコンサルタント:1,251件
またワークポートには未経験者が応募できる求人も多く、未経験可のSEを募集している求人は362件もヒットしました(2022年6月3日時点)。
そのため未経験からIT業界へ転職を目指す方にとって数少ない使い勝手の良い転職エージェントです。
登録は無料なので、ぜひ登録して実際の求人を見てみましょう。
ワークポート公式サイト:https://www.workport.co.jp/
2. マイナビ ITエージェント
公式URL(https://mynavi-agent.jp/it/)
求人数 | 37,823 件 |
エンジニア | 17,800 件 |
ITコンサルタント | 1,896 件 |
社内SE | 1,779 件 |
Web系エンジニア | 5,991 件 |
(2022年6月3日時点の公開求人数をもとに作成。)
マイナビIT AGENTは、SIerの実務経験がある人におすすめのエージェントです。
もともとIT・Web分野の会社との繋がりが強いマイナビ転職が、IT業界向けの転職エージェントに特化して立ち上げられました。
IT業界にかなり精通しており、下記の通り幅広い職種の求人を扱っているのが特徴です。
もともとIT系のバックグラウンドがあるエージェントなので、詳しい仕事内容が聞きたい実務経験者にとっては心強いサービスです。
3. リクルートエージェント
リクルートエージェントは、多くの求職者が利用している大手総合型転職エージェント。
IT企業の取り扱いも多く、SIerから転職するならまずはリクルートエージェントへの登録がおすすめです。
求人数 | 202,471件 |
エンジニア全体 | 56,541件 |
社内SE | 7,985件 |
ITコンサルタント | 7,093件 |
IT系の公開求人数(2022年6月3日現在、各職種の該当検索数)
現在は電話面談やオンライン面談も可能なほか、IT未経験の求人もあります。
アドバイザーの質にばらつきがあるというデメリットもありますが、申し出れば担当アドバイザーの変更も可能です。
登録すると下記のように、自分の状況に合ったサポートを受けることが可能です。
- より詳細な求人情報を閲覧できる
- 現状のレベルでSIerから他職種に転職できるか相談できる
- 面接対策や書類添削をしてもらう
3分ほどで無料登録することができるので、ぜひ一度相談してみましょう!
リクルートエージェント公式: https://www.r-agent.com/
まとめ
本記事では「SIerはやめとけ」と言われる理由や、SIerが向いていない人の特徴、将来性について解説しました。
SIerの需要は引き続きなくならないことが予想されます。
しかし、SIerのビジネスモデル上、昇給のしづらさや最新技術やアイディアを駆使しにくいなどの問題点もあります。
そのため「SIerで十分基礎スキルが身についたから、もっとキャリアアップしたい」と考えている方は、社内SEやITコンサルタントへの転職がおすすめです。
経験豊富なキャリアアドバイザーが、求職者一人ひとりの希望やスキルに合わせて転職活動をサポートしてくれます。
また面接対策として企業に魅力が伝わりやすい話し方や、伝えるポイントなどをアドバイスしてもらうことも可能です。