フロントエンドエンジニアの将来性は?現役エンジニアが需要や展望などを解説
「フロントエンドエンジニアの将来性ってどうなの?」
「この先需要がなくなるって聞いたことがある……」
このように疑問や不安を持ったことはありませんか?
この記事では現役のフロントエンドエンジニアが、将来性を個人的な見解を踏まえながら紹介します。
・フロントエンドエンジニアとして生き残るためのスキル
・フロントエンドエンジニアのキャリアパス
フロントエンドエンジニアとして仕事をしたいけど迷っている人や、実際にフロントエンドエンジニアとして働いている人は、ぜひ最後までご覧ください。
目次 (PRも含まれます)
フロントエンドエンジニアとは
フロントエンドとは、利用者が直接さわる箇所、たとえばWebサイトやアプリのデザイン、UIをさします。
ログイン機能でのIDやパスワード入力用の画面作成や、入力する文字の制約などはフロントエンド開発の範疇に入ります。
フロントエンドエンジニアは、一つの用語で多岐に渡る職種を示しています。基本的に、ウェブサイトの構築を担当するフロントエンドエンジニアは、多くの場合「コーダー」という名称で呼ばれています。
Webアプリの開発を手掛けているエンジニアは、一般的に「フロントエンドエンジニア」と呼ばれることが多いです。
フロントエンドエンジニアの仕事内容
フロントエンドエンジニアの仕事内容は、主に以下の4つです。
- レイアウトを考える
- UIを実装する
- APIとの連携を行う
- テスト、デバッグ
レイアウトを考える
フロントエンドエンジニアの業務内容を紹介します。フロントエンドエンジニアは、デザインの指示に従い、HTMLやCSSを駆使してレイアウトを作成します。
デザイナー不在時には、デザイン作業も行う場合があります。
HTMLを使ってマークアップする場合、カラムの種類や左右の配置方法など、レイアウトについての詳しい設計が必要になります。
UIを実装する
次にUIの実装をします。全体のレイアウトが整った後は、細かい部品や文字などを実装していき、UIが形成されていきます。
APIとの連携を行う
APIとの連携も大切な作業です。Webアプリケーション開発時、バックエンドエンジニアによって構築されたデータベースとのコミュニケーションはAPIを介して実施されます。
フロントエンドの開発では、HTTPリクエストの構造を理解し、APIを使ってデータを取得する方法に精通していなければなりません。
テスト、デバッグ
最後に、テストやデバッグの作業があります。
Webアプリケーションを開発する際には、JavaScriptなどで書かれたコードが正しい挙動をしているかを確認し、問題があれば修正を行います。
これには自動テストや単体テストの実装が含まれることが多いです。
コーダーやマークアップエンジニアとの違い
コーダーやマークアップエンジニアの主な仕事は、渡されたデザインをもとに、企業のホームページやランディングページをコーディングすることです。
コーディングの際には、主に以下の言語を使います。
- HTML
- CSS
- jQuery
コーダーは基本的に、WordPressやランディングページのコーディング(マークアップ)を対応します。
マークアップエンジニアは、デザイナーの意図やサイトの目的を把握したうえで、UXが良くなるよう、改善することもあります。
ただ、どちらもデザイナーからもらったデザインファイルを元に、デザインどおりにHTMLやCSSをコーディングしていく仕事が中心です。
Webデザイナーとの違い
Webデザイナーは、サイトのビジュアルデザインを担います。ターゲットとなるユーザーの特性を予測し、ユーザーインターフェースのレイアウトや配色などを決めます。
IllustratorやPhotoshopを使い、実際のデザインを決定していきます。
バックエンドエンジニアとの違い
フロントエンドから届いたデータは、バックエンドでサーバーに取り込まれます。そこから、データベースとの通信や外部サービスとの結合、または複雑な計算作業などが実施されます。
例えばログイン機能であれば、行われる処理は以下のとおりです。
- ユーザーからID・パスワードを受け取る
- データベース側にそのID・パスワードがあるか問い合わせ
- ログインができるように認証情報を返す
フロントエンドエンジニアの将来性:近い将来は安泰、長期的には不明
フロントエンドエンジニアの展望について話していきます。将来性に関して、明確に良いか悪いかと言い切るのは困難です。
10~20年も前から、フロントエンドエンジニアの将来性を疑う声はありました。
したがって、将来性がないとは断定できない一方、存在するとも言えない状況にあります。
したがって、フロントエンドエンジニアの将来に前向きな考えを持つ人たちの視点と、否定的に捉えている人たちの視点、加えて私の意見を説明していきたいと思います。
すぐにフロントエンドエンジニアの仕事はなくならない
最初に、短期的に見た場合は需要は高いことを説明します。
フロントエンドエンジニア、特にコーダーやWeb関連のフロントエンドの技術には、DXを推進する中で多くの企業がITへの投資を拡大しています。
この状況を考慮すると、需要が増していると思っても不思議ではありません。
需要が拡大するとフロントエンドエンジニアの仕事の量も増え、単価も上昇します。
もう一つの見解は、UI/UXへの投資が増えているということです。
2000年代と比べてみると、2020年代ではアプリケーションがいっそう複雑化しています。スマホアプリのように快適に動くアプリケーションの制作が求められるようになりました。
フロントエンドの開発に失敗すると、ユーザー体験が悪くなるのは必然です。
したがって、多数の企業がフロントエンドエンジニアを雇用して、ユーザーの利便性を高めている風潮があります。
この傾向は将来的に大幅に変わることはほとんどないと見込まれます。以上がポジティブな見解です。
長い目では専門性が必要
一方、フロントエンドフレームワークの変遷が早いという状況も存在します。
たとえば、ReactやVue.jsのようなJavaScriptのフレームワークが特に当てはまり、最近になって以下のような例が多くなっています(2024年2月現在)。
- フロントエンドのフレームワークが人気になってからすぐに廃される
- 唐突に仕様の変更が行われて、その言語をそのまま使い続ける意思決定ができなくなる
このような事情から、フロントエンドフレームワークを採用する際、ネガティブな見解を持つ企業が増えていくことが予想されます。
さらに、AIがフロントエンドのコーディングを自動で行っています。
「Visual Studio Code」のような開発エディターでは、AIによる自動コード生成の機能が備わっています。「Github Copilot」はその代表的な例です。
AIを活用してコーディングを進めることで、HTMLとCSSをほとんど記述することなく自動的にコーディングが完了するようになります。
WebデザインをAIが学習し、HTMLとCSSを自動で書きだすケースも既に存在しています。
したがって、HTMLとCSS、JavaScriptの知識だけでは、今後フロントエンドの仕事を探す過程で、AIに代替される恐れが高いと思われます。
なお、エンジニアがコーディングせずとも、ウェブページを作成できるようなアプリケーションも現れています。
フロントエンドエンジニアの将来性に対する個人的な見解
フロントエンドエンジニアの将来性に関して言えば、単にHTMLやCSS、JavaScriptをコーディングできるだけでは、将来性がかなり限られてしまうと考えられます。
デザインが示す通りにHTML、CSS、JavaScriptを活用してホームページを作る仕事は、AIが賢くなっていくことで、より自動化しやすくなる可能性があります。
そのため、以下に挙げる経験がなければ、フロントエンドエンジニアとして成功するのは非常に難しいでしょう。
- デザインから入ってコーディングする
- Webアプリケーションのように複数のコンポーネント部品を使って、いろいろなサーバーサイドと組み合わせて作る
高度なスキルを持つフロントエンドエンジニアのキャリアは極めて有望です。しかし、基本的な技術しか持たないフロントエンドエンジニアの将来は、暗いものになります。
フロントエンドエンジニアとして活躍するうえで必要な知識・スキル
フロントエンドエンジニアとしてのキャリアを築くには、次に挙げる知識とスキルが必要です。
- プログラミングスキル
- ライブラリの知見
- フレームワークに関する知見
- 開発者ツールを使うスキル
- デザインスキル、UI/UXの知見
- レスポンシブデザインなどのデバイスに関する知識
- CMSに関する知見
- SEOの知見
それぞれ解説します。
プログラミングスキル
フロントエンドエンジニアが習得すべきプログラミングスキルは、以下に挙げられます。
- HTML
- CSS
- JavaScript
- PHP
- Ruby
- Python
それぞれの言語を詳しく紹介します。
HTML
HTMLとCSSはウェブページ制作に利用されます。HTMLはウェブページの構造を定義する言語です。
このような文章を書く際にはHTMLのpタグが使用されることが多いです。見出しの部分では、h2やh3のようなタグを活用して構造を整えます。
CSS
CSSはWebページ制作に欠かせないもので、HTMLの色や配置を調整する言語です。
HTMLとCSSは常にアップデートされており、今はHTML5とCSS3が最新のバージョンになっています。プログラミングの勉強を始めるにあたって、HTMLとCSSで画面を作ってみるのは面白いので、最初にこれらの技術を学ぶことが良いでしょう。
JavaScript
JavaScriptはWebページに動きを追加する言語です。
たとえば、ボタンを操作した時に通知を表示させたり、アニメーションやスライドショーを設置する場合に活用されます。
従来、JavaScriptはフロントエンドの開発に使用されるケースが多かったのですが、技術の進化で、バックエンドでの使用も増えてきました。その結果、エンジニアならばJavaScriptを習得する機会が近年ますます増加しています。
React・jQuery・Vueなどのフロントエンドフレームワークは、基本的にJavaScriptを使って実装されます。
さらに、JavaScriptを静的型付け言語に変換できるフレームワークとしてTypeScriptが存在します。
ただ、今後Webアプリケーションの大規模な開発に関わるような場合、この言語を習得しておくことがおすすめです。
PHP
データベースを利用して会社の情報を取り出す際、PHPをバックエンドのプログラミング言語として使うケースが頻繁にあります。
コーダーとしてのキャリアを考えている場合は、WordPressとPHPを学習しておくことをおすすめします。
逆に言えば、コーダーになる予定がなければ、PHPを詳しく知る必要性はありません。
Ruby
Rubyは日本製のプログラミング言語で、松本行弘氏によって開発されました。
Rubyは型宣言がなく、文法が簡潔で読みやすいため、サーバーサイドのプログラミングを初めて学ぶ人にもおすすめです。
一般的に、フロントエンドエンジニアがRubyを学ぶ必要性は低いですが、バックエンドエンジニアと連携してAPIの開発を行う場合には、Rubyの知識が役立つことがあります。
Python
Pythonは、Web開発だけではなく、データサイエンスやAI開発など広範囲にわたって使われている言語です。
フロントエンドエンジニアにとってPythonの勉強は不可欠なものではありませんが、サーバーサイド開発に携わる機会がある時、Pythonの知識はプラスになることもあります。
サーバーサイド言語の習得はフロントエンドエンジニアに直接必要とされるわけではないですが、プロジェクトをより深く理解し、チーム内のコミュニケーションを円滑にする点で、役に立ちます。
ライブラリの知見
フロントエンドの開発者は、JavaScriptを含む言語でコーディングする際、様々なライブラリを利用することが一般的です。以下がその代表的な例です。
- jQuery
- React
個々の特徴や使用法の違いを理解しておきましょう。
さらに、ライブラリのバージョンアップに適応するためには、最新のトレンドを常に把握しておく必要があります。
フレームワークに関する知見
CSSフレームワークは、CSSにおいてよく利用されるパーツや色を簡単に実装可能なものです。
たとえば、CSSフレームワークを活用することで、以下を容易に実現できます。
- ボタンの色を青色にする
- ボタンを押した時にローディングアクションをつける
CSSフレームワークで古くから使われているのは「Bootstrap」です。
近頃は、JavaScriptのフレームワークと併用して、TailwindというCSSフレームワークを採用するケースが増えています。
どちらを選ぶか明確なおすすめはしにくいですが、Bootstrapを使いこなしたら、Tailwindに挑戦するのが良いかもしれません。
開発者ツールを使うスキル
開発ツールを使うことは、フロントエンドのエンジニアにとって極めて重要な能力となります。
フロントエンドエンジニアは、開発者ツールを活用してブラウザで直接デバッグ作業を実施します。
デベロッパーツールの使用により、次のことを検証できます。
- フロントエンドのログ
- APIリクエストの正確性
- ネットワークの通信状態
ほとんどのブラウザでは、「F12キー」を押すか、右クリックして「検証」を選ぶことで開発者ツールが使えます。
デザインスキル、UI/UXの知見
フロントエンドエンジニアにとっては、WebデザインとUI/UXについての理解が必須です。Webデザインをこなせると、デザインから実装に至るまでスムーズに進められます。
アプリ開発では、デザインとフロントエンドの実装を両方行えると、重宝されます。また、デザインのコンポーネント作成もできます。
同様に、UI/UXについての知識も欠かせません。ユーザーが直感的に使え、ストレスフリーであるインターフェースを設計する能力が不可欠です。「Fの法則」などの原則を理解しておくことが推奨されます。
UI/UXの理論や技術を習得することで、使いやすいサイトやアプリの開発に役立てることができます。
フロントエンドエンジニアには、コーディング能力だけではなく、デザイン能力とUI/UXに関する知識も必要とされます。
レスポンシブデザインなどのデバイスに関する知識
レスポンシブデザインの知識も、フロントエンドエンジニアには必須です。
最近のWeb開発では、異なる画面サイズのデバイスに適応することが必須です。それぞれのデバイスに合わせて適切に表示されるようにデザインを微調整する技術が重要です。
レスポンシブデザインを実装するためには、CSSのメディアクエリを活用して、デバイスの画面サイズに応じて以下の通り様々なスタイルを適用する必要があります。
- 大きなディスプレイ:情報を2列で表示
- スマートフォンなどの小さい画面:1列で表示
レスポンシブデザインを想定どおり適用するには、多様なデバイス上でサイトのテストを行います。
レスポンシブデザインの知見がある場合、あらゆるユーザーに適した使いやすいソフトウェアを制作することが可能です。
CMSに関する知見
CMSは「コンテンツ マネジメント システム」の略称で、ブログや企業のウェブサイトなどを手軽に作成できるツールです。
フロントエンドエンジニアにとって、CMSを構築する機会は非常に多いです。企業のホームページを作る際は、基本的にWordPressを利用するケースが多いからです。
WordPressでHTMLやCSSを使う頻度は多いので、WordPressの操作方法や実装を習得しておくことをおすすめします。
SEOの知見
「Search Engine Optimization」の略であるSEOは、GoogleやYahoo!等の検索エンジンで上位に表示させる技術を指します。
通常、SEO対策はWebマーケティング担当者が実施することが多いですが、フロントエンドエンジニアにも大切です。
ホームページのマークアップ方法しだいで検索結果の順位が変化する場合があるからです。
たとえば、以下知識の理解は欠かせません。
- noindex:Googleで検索したページに対してGoogleに登録するかどうかを決める
- nofollow:リンクジュース(リンク先に対しての評価)を渡すか渡さないかを決める
Googleがコンテンツの内容を判断する際、titleタグやh1、h2タグが必要になります。
これらの知識を駆使してマークアップを行うことが非常に大切です。
フロントエンドエンジニアとしてプラスアルファで獲得したい知識・スキル
フロントエンドエンジニアが基本的な知識に加えて身に付けたい、知識やスキルについて解説します。
- バックエンドに関する知識
- 要件定義・機能設計のスキル
- AIの知見
- プロジェクト管理のスキル
- BaaSの知見
- PWAの知見
- SPAの知見
- WebAssemblyの知見
順番に見ていきましょう。
バックエンドに関する知識
バックエンドとはフロントエンドとは異なり、サーバーやデータベース、API等へリクエストを送信する言語のことです。
バックエンドの開発によく使用される言語は以下のとおりです。
- PHP
- Ruby
- Java
- C#
以前はJavaScriptをフロントエンドのみに使うことがほとんどしたが、現在はNode.jsの進化により、サーバーサイドのプログラミングにも頻繁に使われています。
PHPはWordPressとの連携でよく使用されるため、コーダーを目指す人には特にPHPの学習をおすすめします。
大きな開発プロジェクトに参加する際には、RubyやPythonのような他のプログラミング言語を習得しておくことをおすすめします。
要件定義・機能設計のスキル
要件定義と機能設計のスキルを持っていると、フロントエンドエンジニアとして上流工程で活躍できるようになります。
要件定義のプロセスでは、クライアントが直面している課題やニーズを明確にし、それを克服するWebサイトやアプリケーションの条件を定義します。
実現性や開発にかかる費用や時間を検討しながら、システムの全体像をはっきりさせていきます。
機能設計においては、要件定義の内容を踏まえ、以下の仕様を細かく決定します。
- アプリの機能や性能
- 管理画面の構成
- 操作方法
また、詳細設計のときに、画面のレイアウトやプログラミングに不可欠なソースコードの大枠の資料を作ります。
プログラミング能力だけでなく、要件定義や機能設計の業務もこなせるフロントエンドエンジニアは市場価値が高まります。
AIの知見
AIの使用は生存戦略の一つです。
今、フロントエンドエンジニアリングにおいては、AIによる実装が大半を占めています。したがって、AIを駆使して自らの効率を最大化することが求められます。
逆に、AIが書けるタイプのコードを長年にわたって開発している場合、雇用主は「AIで対応できるのでは?」と思い始めるかもしれません。
その結果、フロントエンドエンジニアの仕事の依頼が少なくなる恐れがあります。
プロジェクト管理のスキル
プロジェクトの管理ができれば、上流工程への参加も可能です。
アプリやWebサイト開発においては、様々な職種の人たちが関与し、数多くのステップを踏むため、適切な進行管理が必要不可欠です。
プロジェクト管理では主に以下を行います。
- スケジュール作成
- メンバーの役割分担
- スケジュール・進捗管理
- リソース管理
- 品質管理
プロジェクトの全体を効率的に管理するスキルを持っていると、プロジェクトリーダーやマネージャーへの昇進が期待できるでしょう。
BaaSの知見
BaaS(Backend as a Service)に詳しいと、フロントエンドエンジニアにとって非常にメリットがあります。
バックエンドエンジニアの手が不足している状況下でも、この方法によりフロントエンド側は複雑なバックエンドプロセスを直接扱えるようになります。
例を挙げると、Googleの「Firebase Authentication」というサービスは、認証過程をシンプルに導入できる設計になっています。
このツールを使えば、フロントエンドエンジニアが複雑な認証ロジックを一から書く必要なく、少ないコードで安全な認証システムを構築できます。
BaaSは、リソースが少ないスタートアップや小規模なチームで特に役立つものです。
PWAの知見
PWAとは「Progressive Web Apps」の略称で、ネイティブアプリのように使えるスマホ向けのWebサイトやWebアプリのことです。
Googleが支援している技術を通じて、ネイティブアプリと同等の快適な操作性をWebアプリケーションで達成しようとしています。
PWAの主な特徴としては以下のとおりです。
- ホーム画面への追加
- フルスクリーン表示
- プッシュ通知の受信
- オフライン対応
- インストール不要でブラウザから直接アクセス可能
Service WorkerというJavaScriptの実行環境を利用しており、フロントエンドエンジニアはこの技術に関しての知識を深めることが必要です。
SPAの知見
さらに、シングルページアプリケーション(SPA)の理解も不可欠です。
SPAはページをリロードすることなく多様な機能を実現できる手法で、フロントエンド開発の流れの一つです。
SPAの活用により、利用者に対して円滑でインタラクティブな体験を提供し、スマートフォンアプリに匹敵する使い心地のWebアプリケーションを実現できます。
SPAを構築する上で、ReactやAngular、Vue.jsなどの先進的なJavaScriptフレームワークやライブラリの知識が必須です。
これらの技術の利用によって、次のことを効率よく実施できます。
- データのバインディング
- コンポーネントの管理
- ルーティング処理
フレームワークに習熟したフロントエンドエンジニアは、SPAの開発をより円滑に行い、複雑なアプリケーションの構築にも応えられます。
WebAssemblyの知見
WebAssemblyはブラウザ上で作動する言語であり、WebAssemblyで開発された機能は素早く作動し、ユーザーエクスペリエンスの向上に貢献します。
C言語やC++、Rustで記述されたプログラムをコンパイルして、ウェブブラウザで実行できます。
その上、WebAssemblyはJavaScriptと組み合わせることが基本の設計思想です。
JavaScriptとともに機能し、既存のWebアプリケーションに少しずつ導入することが可能なため、今後はWebAssemblyの利用が拡大すると期待されます。
フロントエンドエンジニアになるための勉強法
フロントエンドエンジニアに未経験から挑戦するために必要な準備について説明します。
エンジニアとしてのキャリアを未経験からスタートさせるには、自分でアプリケーションまたはホームページを製作できるスキルを、独学で習得することが必須です。
書籍・動画・スクールで学ぶ
最初に行うべきことは、書籍や動画を通じてプログラミングの基本を習得することです。具体的に習得すべき内容は下記のようになります。
- HTML
- CSS
- JavaScript
- jQuery(コーダーを目指す場合)
- ReactもしくはVue.js(Webアプリケーション開発のフロントエンドエンジニアを目指す場合)
- Linuxコマンド
コーダーになるためには、Webサーバーを利用して静的ファイルをアップロードし、Webページを公開するプロセスを経験することが求められます。
フロントエンドのWebエンジニアであるならば、Webアプリケーションを作成するためにPaaSの使用経験が求められるので、その学習を始めてみてはどうでしょう。
プログラミングの初歩を学び終えたら、その次には就職で必要とされる知識を深く学びましょう。
プログラミングスクールに行くことも、選択の一つです。
ただし突然スクールに行くのではなく基礎は自分で学び、その後にスクールへ通うことをおすすめします。
プログラミングスクールへ行っても、途中で挫折する確率が高いことが理由です。
私いちおしのプログラミングスクールはRUNTEQで、バックエンドとフロントエンド両方の知識が学べる点が魅力です。
個人的に、フロントエンドのみに特化するよりも、バックエンドの能力があってからフロントエンドもこなせる方が採用の可能性が高いと考えます。
ポートフォリオを作る
ポートフォリオは、就職活動で作る履歴書や職務経歴書と同じような役割のものです。
これまで習得してきたスキルや、作成してきたサービスについての概要です。
ポートフォリオの制作方法に関しては、関連する記事を参照してください。
実際に仕事を受ける
フロントエンドエンジニアとしてスキルを獲得するには、実地での学習が必要不可欠です。
教材や動画、スクール等で基本的な知識を得た後、実際に仕事を受けて、現場で使える力をつけることが重要です。実務を経験することで、以下のことが学べます。
- クライアントとのコミュニケーション
- デザイン要件を汲み取る力
- 本番環境下でのコーディング、デバッグ
仕事を受注するには、主に次の方法があります。
- クラウドソーシングに登録して案件を受注する
- エージェントに登録し常駐案件などをこなす
さらに、社内SEやWebデザイナーの仕事を通じて、自社のサイトや製品のフロントエンドの開発作業に参加することで、現場での経験を重ねることができます。
実務の経験を積むことにより、フロントエンドエンジニアの技術をしっかりと習得することができます。教材や動画だけでは不足しがちな、実際の作業での経験を得ることが可能です。
デザインツールを使ってみる
フロントエンドエンジニアとしてスキルを上げるなら、デザインツールの活用もおすすめです。
HTMLやCSSの記述に加え、実際のデザイン制作スキルを習得することで、高度なプロジェクトに取り組むことができます。
デザインを行う上で代表的なツールには、以下のようなものが挙げられます。
- Photoshop
- Illustrator
- Adobe XD
- Sketch
- Figma
これらのツールによって、ワイヤーフレームやプロトタイプの制作、コンポーネントのデザインなどの作業が実行できます。
デザインツールを扱えると、デザイナーとのやり取りがスムーズになります。デザイナーが使用するツールを理解していれば、デザインとコーディング間で生じるズレや誤解を防げます。
デザインの知見を広げることで、UI/UXの向上になります。使いやすさを重視したUIを考えることができ、利便性の高いWebサイトやアプリを開発できます。
【おすすめ】未経験OKの企業に転職する
スクール等で技術を習得した後は、未経験歓迎の企業に入社し、2〜3年間実際に働いて経験を積むことをおすすめします。
仕事を始めると、本やスクール内では出会わないような問題に直面することがよくあります。特に、以下は本や教室では経験しづらいものです。
- プロ意識
- 納期厳守の緊張感
- トラブル発生時の対応
例を挙げると、プログラミングではシステム障害が起きたときに、一晩中リカバリー作業をすることもあるのです。
働いた経験は、フリーランスに転身する時に自分を売り込む要素になります。
最初から個人で仕事を任されることはなく、上司や先輩、同僚と一緒に作業を進めることができるので、心配する必要はありません。
フロントエンドエンジニアの年収
フロントエンドエンジニアの給料に関して説明します。
フロントエンドエンジニアの平均年収
フロントエンドエンジニアとしての年収は、正社員だと大まかに以下のようになっています。
- 新卒~未経験:約350万~450万
- 業務経験3年~5年:約450万~600万
- 6年目以降〜:約600万円〜
まず、フロントエンドエンジニアの正社員としての年収についてですが、「Reactを扱えるからといって特定の額が決まっているわけではない」ということです。
エンジニアの場合、ジュニア(1~3年目)であれば、おおよそこの範囲で報酬が設定されています。
ただ、IT業界の大規模ベンチャーなどでは、未経験であっても高い報酬を支払うことがあります。
SESや受託のビジネスで利益が上がっていない会社では、5年目には技術力が非常に高くなっているにも関わらず、メガベンチャーの新卒の給与よりも低い場合があるかもしれません。
管理職やチームリーダーへと昇進すると、800万円以上を目指せるようになるでしょう。
フロントエンドエンジニアの実際の求人例
フロントエンドエンジニアの実際の求人例には、以下があります。
案件名 | 【フロントエンド(React/TypeScript)】WEBアプリケーション開発の求人・案件 |
契約形態 | 業務委託 |
単価 | 〜700,000円/月 |
職務内容 | 自社サービスにおける開発業務に対応いただきます。 ・自社Web Applicationのフロント周りの設計/開発/テスト/運用 ・負荷軽減などによるプログラムの適正、改善(高速化) ・成果物のドキュメンテーション化、ノウハウ共有 ・進捗のレポート業務 |
求めるスキル | ・TypeScriptとJavaScript(React)での開発経験 ・HTMLとCSSの使用経験歓迎スキル ・Node.jsでの開発経験 ・ES2018とPromise(async await)の知見 ・BFFアーキテクチャの知見 ・テストの自動化の経験 ・ドキュメンテーション経験 ・サーバーサイド言語(JavaとPHP)の開発経験 ・RDBまたはMongoを使ったシステム開発経験 ・Amazon Web Serviceを利用したシステム開発経験 ・要件定義と画面仕様書の作成 ・エンジニア教育の経験 ・パフォーマンス適正化と改善経験 |
ポジション | フロントエンドエンジニア |
現在では求人の掲載を終了している場合があるので、気になる人は実際に求人サイトで求人を見てみてください。
フロントエンドエンジニアのキャリアパス
フロントエンドエンジニアの主要なキャリア進路には、次のようなものがあります。
- Webデザイナー
- サーバーサイドエンジニア
- フリーランスのフロントエンドエンジニア
それぞれのキャリアパスを見ていきましょう。
Webデザイナー
フロントエンドエンジニアのキャリアの一つとして、Webデザイナーが挙げられます。
フロントエンドのスキルを応用してデザインを行うと、機能的かつ見た目もきれいなウェブサイトやアプリケーションの開発が可能です。エンジニアとの円滑なやり取りもできます。
デザイナーの職務では、デザインの企画・策定能力、デザインツールの扱い、色彩理解やレイアウト技術などの能力が必要とされています。
グラフィックデザインの初歩的な知識やこれまでの経験が、エンジニア時代よりデザイン関連のスキルアップに役立つことになります。
サーバーサイドエンジニア
サーバーサイド(バックエンド)エンジニアも、フロントエンドエンジニアのキャリアの1つです。
サーバーサイドエンジニアは、Webアプリケーションやサービスの背後で、データベースやAPIの構築と開発を手掛ける仕事です。
フロントエンドでの開発経験がある場合、クライアントサイドの動きを深く理解しており、それによってサーバー側の開発をより円滑に進めることが可能です。
ただし、フロントエンドとサーバーサイドで使われる言語は違うことが多いため、サーバーサイドの言語を学ぶことが不可欠です。
さらに以下の知識も不可欠です。
- データベース設計
- API設計
- セキュリティ対策
- サーバー運用
フロントエンドとバックエンド、2つの領域の技術を習得しスキルアップすれば、さまざまなプロジェクトへの対応が可能になり、キャリアの向上も期待できるでしょう。
フリーランスのフロントエンドエンジニア
フロントエンドエンジニアとしての能力と経験を高めたあと、会社員ではなくフリーランスとして働く道を選ぶことも可能です。
フリーランスとしての利点は、労働条件や収入の柔軟性が大きいということです。自らの生活スタイルに応じて業務を引き受け、プロジェクトごとに高い報酬の仕事に携わることが可能です。
一方、仕事の探索や納期、価格に関する交渉、事務的なタスクなど、全てを一人で担う必要があるという欠点もあります。
フリーランスを志す際には、まずは企業で働きながらポートフォリオを充実させ、能力と経験を重ねていくことをおすすめします。
クラウドソーシングやエージェントを利用して仕事を手に入れ、段階的に独立を計画すると、経済的にも技術的にも安心感があります。
フロントエンドエンジニアがキャリアアップする方法
フロントエンドエンジニアがキャリアアップするには、以下の方法があります。
- 開発スキルを身につける(React、Angular、Vue.js)
- プロジェクトマネージャー(PM)になる
- フルスタックエンジニアになる
それぞれ解説します。
開発スキルを身につける(React、Angular、Vue.js)
現状では、ほとんどのWebアプリケーション開発においてReact・Vue.js・Angularは使われています。
これらのフレームワークを使えると、他のHTML・CSS・JavaScript、jQueryしか書けないフロントエンドエンジニアとは、差別化できるようになると思います。
プロジェクトマネージャー(PM)になる
フロントエンドエンジニアがキャリアアップを図る方法として、プロジェクトマネージャー(PM)を目指すことも1つの選択です。
PMはWebサイトやアプリケーションの企画から設計・開発・リリースまでを統括する重要な役割を担います。
主な業務は以下のとおりで、プロジェクト完了に向けてチームをまとめていく力が求められます。
- プロジェクト全体の進行管理
- メンバー管理
- リスク管理
フロントエンドエンジニアの経験があれば、開発の実務を熟知していることから、要件定義や工数見積もりなど上流工程での発言に説得力が出ます。
また、フロントエンド開発のノウハウを活かし、エンジニアの適切な配置や指示、進捗管理などを的確に行えるでしょう。
PM業務を通じて、技術スキルだけではなく以下のマネジメント能力を高められます。
- リーダーシップ
- 課題発見・解決力
- 交渉力
- ファシリテーション力
プロジェクトの舵取り役としてキャリアアップが可能です。
フルスタックエンジニアになる
フルスタックエンジニアを目指すことも、キャリアアップの方法の1つです。
フルスタックエンジニアとは、フロントエンドだけではなく、以下のようにシステムの根幹部分まで、広く深く技術を持つエンジニアです。
- バックエンド開発
- データベース
- インフラ
単一の領域に特化するのではなく、Webやアプリ開発の全工程をカバーできる総合力が求められます。
フロントエンド開発の経験とスキルを持ちながら、以下を習得することで、フルスタックエンジニアになり得ます。
- サーバーサイドの言語
- データベース設計
- API設計
- インフラ技術
フルスタックエンジニアになると、開発の上流工程から下流工程まで一気通貫で対応できるようになり、技術的な幅が格段に広がります。
単なるコーディングから脱却し、システム全体を把握できるエンジニアとして付加価値が高まります。
幅広い技術を備えたエンジニアは、高年収・高待遇が期待できる希少な人材です。
フロントエンドエンジニアはスキルを身につければ将来性がある仕事
フロントエンドエンジニアの将来性は一概に明るい暗いとは言えません。
しかし、AI に関する知識やバックエンドの知識を身につけていると、市場価値が高まり、今後もフロントエンドエンジニアとして活躍できる可能性も高まります。
将来にわたってフロントエンドエンジニアとして生きていきたい場合は、スキルアップを図りましょう。