【高需要】SAPでフリーランス独立するには?メリットや案件獲得の仕方も解説
2022年現在、SAPエンジニアやSAPコンサルタントの報酬は高いです。

ただ現実問題として独立するほうが良いのか、どのタイミングで独立するべきなのか、悩んでいるエンジニアの方は多いのではないでしょうか。


今回は上記のような方に向けて、SAPでフリーランスとして独立するメリットや、案件の単価相場、案件を獲得する方法を解説します。

目次
SAPの現状と将来性
まずはSAPの現状や将来性について、下記の順番で解説します。
- SAPの世界のシェア率はNo.1
- ERPの導入は中小企業でも盛ん
- SAPエンジニアは圧倒的な売り手人材
- SAPの「2025年問題」について

SAPの世界のシェア率はNo.1
SAPとはドイツにあるソフトウェア会社の名前です。
SAP社の製品は、ERPと呼ばれるパッケージソフトを主軸に、世界でシェア率第1位の実績があります。
企業経営の課題を解決するために、世界中の企業でSAP社のERPが導入されています。

ERPの導入は中小企業でも盛ん
中小企業では業務効率化を進めるため、システムを一元管理できるERPの導入が注目されています。
クラウド型のERPが普及した背景もあり、従来よりも低コストで運用できるようになりました。
IT人材の確保や国の補助金の活用など、ERPの導入にかかるハードルが下がってきている背景もあります。

SAPエンジニアは圧倒的な売り手人材
SAPエンジニアとは、SAP社製品の開発や設計などを担当する職種です。
国内では人材不足が課題になっているため、社会からの需要が高い仕事といえます。
そのためSAPエンジニアを募集する案件は、人材確保のために高単価で募集されているケースも多いです。
SAPの「2025年問題」について
SAP製品の一部は、2025年にサポートが終了すると公式から発表されています。
たとえば以下の製品です。
- SAP ERP
- SAP Business Suite
上記のようなサポート終了予定の製品を、まだ採用し続けている企業も多いです。
S/4 HANAに移行するよう公式で推奨されていますが、コストがかかるという懸念点も。

このようにSAP製品のシェア率の高さや今後移行対応が発生することなどから、SAPエンジニアの将来性は高いといえます。
SAPエンジニアにとっては、フリーランスとして活躍しやすい状況です。
SAPエンジニアがフリーランスになるメリット
SAPエンジニアがフリーランスになるメリットは、下記の通りです。
- 正社員より収入が高い
- 参画したい案件を選べる
- PMO経験があるだけでフリーランス独立できる
それぞれの詳細を見ていきましょう。
正社員より収入が高い
SAPエンジニアの案件は、正社員よりもフリーランスのほうが報酬は高い傾向にあります。
フリーランススタートの調査によると、フリーランスSAPエンジニアの月額単価相場は下記の通りでした。
- 平均単価:109.7万円
- 最高単価:205万円
- 最低単価:25万円
引用:フリーランススタート「SAPのフリーランス求人・案件 月額単価相場」
つまりフリーランスの場合の年収は、約1,316万円(109.7万円×12ヶ月)であることがわかります。
一方で、正社員のSAPエンジニアの平均年収は620万円です。
引用:求人ボックス 給料ナビ
SAPエンジニアの人材は不足しているため、実務経験や実績次第で、高単価案件を受注することも可能です。
正社員として働きながらも不満を覚えている方は、会社員時代の間に実績を積み、人脈づくりに励むことをおすすめします。

参画したい案件を選べる
フリーランスSAPエンジニアは会社員時代とは違い、案件内容を自由に選べる魅力があります。
たとえばキャリアアップにつながる仕事や、高収入を目指せる案件など、自身の価値観に合わせて仕事を受注できるでしょう。
「数ヶ月間働いて一気に長期休みを取る」のような働き方を自由に決められるメリットもあります。

PMO経験があるだけでフリーランス独立できる
PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)は、プロジェクト全体を指揮するPM(プロジェクトマネージャー)をサポートする役割を担います。
近年はPMOを担える人材の不足傾向が強いです。
そのためPMO経験やERPパッケージ導入の経験者は、現場でも重宝されています。
PMO経験者なら「開発の全体像や流れを把握している」と思われるので、案件も獲得しやすいです。

SAPエンジニアがフリーランスになるデメリット
SAPエンジニアがフリーランスになるデメリットは、下記の2点です。
- 知識のキャッチアップが大変
- 営業が大変
詳細を見ていきましょう。
知識のキャッチアップが大変
フリーランスSAPエンジニアとして生き残るには、情報収集や勉強が欠かせません。
会社員時代とは違い、待ちの姿勢では最新情報が入ってきにくくなります。
そのため主体的に新しい知識を収集し、開拓していく努力が必須です。
ほかにもプロジェクトごとに、企業の業界に関する専門知識を深めていくなど、SAPエンジニアとして絶えず情報収集する必要があります。

営業が大変
SAPエンジニアとして実績がある場合でも、状況によっては案件獲得がスムーズに進まないケースも考えられます。
現状の仕事を進めながら、新しい案件を獲得するために営業をかけなければらないので、精神的な負荷も増えます。
会社員時代よりも収入が不安定になるリスクや、営業活動に負担がかかり苦労する可能性が高いです。

フリーランスSAPエンジニアの単価相場
前述した通り、フリーランスSAP案件の単価相場は下記です。
平均単価 | 109.6万円 |
中央値単価 | 110万円 |
最高単価 | 205万円 |
最低単価 | 25万円 |
引用:フリーランススタート「SAPのフリーランス求人・案件 月額単価相場」

SAP経験1年未満 | 55万円前後(年収660万円) |
SAP経験1年~2年 | 66万円前後(年収792万円) |
SAP経験2年~3年 | 94万円前後(年収1122万円) |
SAP経験3年~5年 | 110万円前後(年収1320万円) |
SAP経験5年以上 | 132万円前後(年収1584万円) |
引用:フリーランススタート「SAPのフリーランス求人・案件について」
このように経験を積むほど高収入が狙えるのが、フリーランスのSAPエンジニアです。
今よりもっと良い条件で働きたい方は、独立を検討することをおすすめします。
フリーランスのSAP案件の種類
フリーランスSAPエンジニアが担当する案件は、下記の種類に分かれます。
- パラメータ設定
- ABAPを用いた開発
- SAPコンサルタント
それぞれ詳しく解説します。
パラメータ設定
パラメータ設定(またはコンフィグレーション、カスタマイズ)とは、SAP製品を利用するときに必要な基本設定作業のことです。
会社情報や経営に関わる情報など設定内容が細かいため、SAPの専門知識が欠かせない業務といえます。
ABAPを用いた開発
ABAP(アバップ)の言語を使い、アドオン機能の開発に携わります。
ABAPとはSAP製品の開発に使われる言語です。
SAPの開発や調整を進め、企業の経営課題を解決することを目指します。

SAPコンサルタント
SAPコンサルタントは、SAP開発の要件定義・開発・マネジメントなど、上流工程に関わる仕事です。
導入前から導入後までのプロジェクト全体に携わり、クライアントの要望をヒアリングします。
そのうえで課題の改善につながる分析や、カスタマイズを進めていきます。

フリーランスSAPエンジニアが案件を探す方法
フリーランスSAPエンジニアが案件を探すには、下記3つの方法があります。
- エージェントを使う
- 前職から仕事を紹介してもらう
- 企業に直接営業する
詳細を見ていきましょう。
エージェントを使う
最もおすすめなのが、SAPエンジニア向けの案件を紹介してくれるエージェントを利用する方法です。
エージェントとは求職者の代わりにマッチする案件を探し、提案してくれるサービスのことです。
業界に詳しいキャリアコンサルタントが、丁寧に要望をヒアリングしてくれるのが特徴。
そのため報酬・勤務地・経験のあるモジュールなど、希望や経験に沿った案件を獲得しやすくなります。

前職から仕事を紹介してもらう
正社員時代の人脈を使って、SAPエンジニアに関わる仕事がないか、声をかける王道の方法もあります。
フリーランスとして独立を検討中の方は、会社員時代に実績や信頼を積んでおきましょう。
正社員時代にお世話になった取引先から受注できれば、条件の交渉や仕事を進めるうえでコミュニケーションが取りやすくなるというメリットもあります。
企業に直接営業する
マージンなしで案件獲得を進めたいなら、企業に直接営業をかけて契約を結ぶ方法もあります。
企業のホームページから営業メールを送り、返信があれば交渉を進めていく流れです。

フリーランスSAPエンジニアにおすすめのエージェント
フリーランスSAPエンジニアの案件を獲得するには、エージェントを使うのがおすすめです。
高単価案件を獲得したり、営業をかける手間を削減したりできるのがメリットです。
ここでは、下記3つのエージェントをご紹介します。
- レバテックフリーランス
- TECH Stock
- ITプロパートナーズ
1つずつ特徴を解説します。
レバテックフリーランス
公式サイト:https://freelance.levtech.jp/
案件数 | 35,935件 |
最低稼働日数 | 週3日~ |
主な求人職種 | エンジニア |
公式サイト | https://freelance.levtech.jp/ |
※2022年3月時点 レバテックフリーランス公式サイトより算出(公式:https://freelance.levtech.jp)
レバテックフリーランスは、レバテック株式会社が運営しているフリーランスエンジニア向けのエージェントです。
案件の数も豊富で、無料登録すると見られる非公開案件の中には魅力的な穴場案件が数多く眠っています。
レバテックフリーランスの大きな魅力は、以下の3つです。
- 業界最高水準の案件単価
- エンジニア業界に精通したエージェントが案件サポートをしてくれる
- 案件数が多い
①業界最高水準の案件単価
特に目を見張るのは、業界最高水準の案件単価です。

また公式HPでは職種ごとに案件の平均単価も見ることができます。
※2022年3月時点。公式サイトより引用:https://freelance.levtech.jp/
②キャリアコンサルタントの質が高い
レバレジーズ株式会社のノウハウが共有されているので、エンジニア業界に精通したエージェントがサポートしてくれます。
また誰がどの案件のサポートをしたかも一目瞭然なので、安心して相談することが可能です。
③求人数が多い
2022年3月現在の求人数ですが、エンジニアの案件が比較的多めになっています。
「SAP」で検索すると103件の案件がヒットしました。(2022年3月現在)
エンジニア | 10,763件 |
プログラマー | 7,769件 |
インフラエンジニア | 5,703件 |
プロジェクトマネージャー | 2,032件 |
PMO | 1,080件 |
ネットワークエンジニア | 1,312件 |
フロントエンドエンジニア | 1,133件 |

TECH Stock
公式サイト:https://tech-stock.com/

運営会社 | INTLOOP株式会社 |
公開求人数 | 6014件 |
平均単価 | ― |
マージン率 | 非公開 |
対応地域 | 東京、神奈川、千葉、埼玉、北海道、愛知、大阪、京都、兵庫、広島、福岡、沖縄 |
働き方 | 週1~5日、常駐案件が中心、リモート案件あり |
※2022年3月時点・公式ページより引用/算出(公式:https://tech-stock.com/)
TECH Stockの大きな魅力は、以下の3つです。
- 『直請案件』だからこその高単価
- フォロー体制の充実度
- フリーランス向けのサービスを提携
『直請案件』だからこその高単価
TECH Stock公式サイトより引用(https://tech-stock.com/)
TECH Stockで取り扱っている案件の単価は、『直請案件』が多いため、ほかのエージェントと比較しても高い傾向にあります。

フォロー体制の充実度
TECH Stockでは、コンサルタントによるフォローアップ体制が充実しています。
登録者数は25,000名以上の実績があり、非公開案件の紹介を受けられる可能性もあるでしょう。

フリーランス向けのサービスを提携
TECH Stockでは、フリーランスのITエンジニア向けのサービスが充実しています。
- 福利厚生サービス
- 税理士紹介サービス

ITプロパートナーズ
公式サイト:https://itpropartners.com/

運営会社 | 株式会社Hajimari |
公開求人数 | 4,961件 |
平均単価 | – |
マージン率 | 非公開 |
対応地域 | 全国 |
働き方 | 週1~2日から稼働OK、リモートワークOKな案件が豊富 |
※2022年3月時点・公式ページより引用/算出(公式:https://itpropartners.com/)
ITプロパートナーズの主な特徴としては、以下の3つがあります。
- 『直請案件』だからこその高単価
- リモート、週1~2日から稼働OKの案件多数
- エンジニア、デザイナー、マーケターの案件多数
『直請案件』だからこその高単価
ITプロパートナーズ公式サイトより引用(https://itpropartners.com/)
ITプロパートナーズで取り扱っている案件の単価は、『直請案件』が多く他のエージェントと比較しても高い傾向にあります。
※直請案件とは、間に仲介会社を挟まず、直接クライアントと契約している案件のことを指します。
正直、ほとんどのフリーランスエージェントがマージン率を公開していないため、フリーランスの取り分や単価がいいのかを事前に知ることが難しいのが現状です。

マージン率が非公開でブラックボックス化しているからこそ、過剰な報酬の中抜きが発生していないIT プロパートナーズは魅力的です。
リモート、週1~2日から稼働OKの案件多数
ITプロパートナーズ公式サイトより引用(公式:https://itpropartners.com/)
ITプロパートナーズの大きな魅力として、週1~2日から稼働OKの案件が多くあるという点があります。
実際、他のフリーランスエージェントでは、最低稼働日数は週3・4日〜の案件が一般的で、多くは常駐案件です。
その点、ITプロパートナーズは週1~2日〜稼働OKの案件やリモートの案件が多いです。
そのため、「まずは副業的にフリーランスの仕事を始めてみたい」という方必見のエージェントとなっています。

エンジニア、デザイナー、マーケターの案件多数
ITプロパートナーズは公開求人数で比較すると、エンジニア、デザイナー、マーケター全ての職種で業界最多水準の案件数になっています。
他のエージェントの場合、以下のような特徴があり、デザイナーやマーケターが仕事を取りにくい状況があります。
- エンジニアだけに特化していて、そもそもデザインやマーケティング関連の仕事を扱っていない
- 扱っていたとしても、案件数が少なかったりサービス利用可能地域が都市部だけに限定されている
ですが、ITプロパートナーズでは、エンジニア以外の職種でも案件数が豊富なため、より自分に合った案件を選べる可能性が高いです。

注意:ITプロパートナーズは週1日から稼働可能な案件の紹介が可能なものの、会社員をされている方の副業は紹介できません。
フリーランスSAPエンジニアが収入を伸ばす方法
フリーランスで生計を立てるには、高単価案件の獲得を獲得できるスキルが必要です。
会社員時代に経験を積んで、下記のようなスキルを高めておくことをおすすめします。
- 対応できるモジュールを増やす
- ABAPを使いこなせるようになる
- PMなどマネジメントの経験を積む
順番に見ていきましょう。
対応できるモジュールを増やす
担当できるモジュールが多いほど、応募できる案件の幅を広げやすくなります。
SAPのモジュールの一例は、下記の通りです。
- 財務会計(FI)
- 販売管理(SD)
- 管理会計(CO)
- 人事管理(HR)
- プラントメンテナンス(PM)
- プロジェクトシステム(PS)
- 生産管理(PP)
- 品質管理(QM)
- 倉庫管理(WM)
- 調達・在庫管理(MM)
実績や経験を積み、各分野の専門性を深めておくことで、高単価案件を獲得・交渉できるようになります。
ABAPを使いこなせるようになる
自由度の高いSAPを設計するには、ABAP言語の深い理解が求められます。
「国内でABAPを理解しているエンジニアは少ない」といわれているのが現状です。

PMなどマネジメントの経験を積む
プロジェクトマネージャー(PM)は、上流から下流まですべての工程に関わる存在です。
現状、マネジメントができる人材は不足しています。
SAP開発のマネジメント経験があれば、案件の交渉をするときに好条件で進めやすくなります。

未経験からフリーランスSAPエンジニアを目指すには
未経験からフリーランスSAPエンジニアを目指すには、以下2つのポイントを確認しておきましょう。
- 企業で2〜3年の実務経験を積む
- 企業との契約を「正社員」→「業務委託」に変える
詳細を見ていきましょう。
企業で2〜3年の実務経験を積む
フリーランスSAPエンジニアの案件では、基本的に実務経験が求められます。
独学でSAPに関する専門知識を習得するのは困難です。
まずは未経験歓迎の企業に入社し、実際にプロジェクトを経験しながら、専門知識を深めていくことをおすすめします。

企業との契約を「正社員」→「業務委託」に変える
運良くSAPエンジニアになれたら、正社員として在職している企業で、雇用契約を業務委託に変更してもらうことでフリーランスになれます。
働き慣れている職場なうえ、マージンが発生しない直接契約で高収入を狙えます。
2〜3年ほど勤務していれば、交渉の余地はあるでしょう。

まとめ
今回はフリーランスのSAPエンジニアの将来性や単価相場、案件獲得方法などを解説してきました。
SAPエンジニアは、正社員よりもフリーランスのほうが高収入を期待できます。
