口コミを設計するマーケティング手法を解説【実際の事例あり】

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口コミ、UGC(User Generated Contents )がここ最近注目されています。この口コミは、有料広告と比べると

  • 一切お金がかからない
  • ユーザーからの宣伝になるので、訴求効果が高い

と、一般的な広告以上の効果が見込めるようになっています。

広告効果が薄まってきた今だからこそ、非常に注目されるようになっています。

また、以前企画した10代-20代の消費をまとめた #ミレニアルnote 企画を見ても、消費者が口コミをより参考にするようになってきました。
口コミ、UGCの重要性はますます増しています。

≫ミレニアルnote

そこで、今回は

  • 口コミ(UGC)を作りやすくするコンテンツ

について、『口コミ伝染病』という書籍と、過去に私が企画した#ミレニアルnote の事例を利用して、解説してみたいと思います。

口コミについての非常識

口コミ伝染病 によると、口コミについて、多くの人が以下のような勘違いをしているといいます。

  • 顧客満足度を上げる
  • 商品の品質を上げる
  • 口コミが生まれるまで顧客の反応を待つ
  • どんな媒体でも口コミが最強の訴求コンテンツ

この本では、逆に口コミが生まれる条件として、以下のように解説しています。

  • 顧客満足度を高めるのではなく、期待値を下げてギャップを生む
  • 商品の品質を上げるのではなく、劇的な体験を作る
  • 口コミを顧客に任せるのではなく、口コミ設計を行う
  • 業態やポジションによって、口コミ戦略を使いこなす

詳しくみていきましょう。

顧客満足度を高めるのではなく、期待値を下げてギャップを生む

口コミ伝染病 によると、口コミを生むには、顧客満足度を高める以上に、顧客の期待値を下げて、現状とのギャップを生み出すことが口コミ設計において重要だそうです。

例えば、超高級料理店で、そこそこうまい料理が出てきたとしても、そんなに驚かないですよね。でも逆に、サイゼリヤは300円でスパゲッティが食べられるのに、そこそこおいしいから「安いのにそこそこうまい!」という「ギャップ」を口コミできると思います。

このように、期待値が高いものがポジティブな口コミを生むのは難しく、逆に期待値が低いものはポジティブな口コミを生みやすいです。逆に言うと、できることをしぼって期待値を下げてギャップを生むことが、ポジティブな口コミを生むコツとなります。

商品の品質を上げるのではなく、劇的な体験と商品の中に口コミしやすいプロットを作る

また、商品の品質を上げるのではなく、記憶に残る劇的な体験を作ることが重要だそうです。
基本的にユーザーは正確に品質を評価することができません。昔、「一切れ1万円する鶏肉とカエルの肉を目隠しで食べさせて、どちらが高級食材かを当てる番組がありましたが、確かに高級食材を見定める舌を持っている人は少ないです。同じように、商品の品質をしっかりと評価できる人はいません。

そこで、口コミ伝染病 では「劇的な体験を作ること」と、「口コミしやすいプロットを作ること」を推奨しています。例えば、一蘭のようなラーメンは、味自体は普通ですが、

  • 味集中カウンターのような「面白い」「変な」劇的な体験が存在する
  • 「会員制ラーメン」のように、口コミのしやすいキーワードを選択され、口コミの伝言ゲームが起こりやすい仕組みをつくる

似たような事例で、ディズニーランドもそうですね。

  • 一般的にキャストではない清掃員ですら(ギャップ)ダンスをする

などがそうですね。

口コミを顧客に任せるのではなく、口コミの仕方を作る

また、口コミが「顧客がするもの」と放置するのではなく、顧客に正しい口コミの仕方を暗示的に示してあげる必要があります。
ただ、満足度調査をするのではなく、「お客様からの喜びの声を楽しみにしております!」のような、ポジティブなフィードバックが生まれるように設計してあげる必要があります。

口コミはどんな媒体でも最高の効果を生むのではない

口コミは万能薬ではありません。口コミ伝染病 によると、口コミマーケティングを行う場合、以下のような軸で市場環境を見る必要があるようです。

  1. その商品は集団で利用するか
  2. 誰とでも話題を共有できるような話題か

以下、書籍からの引用画像です。

)口コミ伝染病から引用

画像の例もありますが、話題のしやすさでは右上に行けばいくほど口コミが生まれやすく、逆に左下であれば話題にしにくいです。

  • レストラン → 複数人で行き、また話題にしても問題がないの【複数人数で利用 / 誰とでも話題を共有できる】
  • ハプニングバー → 複数人で行くが、話題にはしにくい【複数人数で利用 / 話題を共有しにくい】
  • 歯医者 → 複数人ではいかないが、話題にはしやすい 【複数人数で利用しない/ 誰とでも話題を共有しやすい】
  • 脱毛サロン → 複数人ではいかないし、話題にもしにくい【複数人数で利用しない/ 話題を共有しにくい】

口コミの伝染プロセスのデザイン

さて、これらの口コミが生まれる条件を、人為的に生み出す方法について、口コミ伝染病 から引用します。プロセスとしては以下の通りです。

  1. お客の声を集める
  2. 口コミを伝染させる人を選ぶ
  3. 話題にする商品を選ぶ
  4. 話される場所を調べる
  5. 話題となるきっかけを調べる
  6. どのようなメッセージで口コミが生まれるか調べる

①お客の声を集める

既存顧客がいる場合は、お客の声を集めます。

②口コミを伝染させる人を選ぶ

口コミを伝染させる人を選びます。口コミは、すべての人が行うのではなく、熱狂的な一部のユーザーが広げていきます。その熱狂的なユーザーになりやすい人を羊飼いのように伝染させるように設計します。具体的には以下の基準で選ぶとよいです。

  • 過去、お客さんを紹介してくれた人
  • 紹介によりお客になった人
  • 情報発信役となっている人

③ 話題になる商品を選ぶ

話題にする商品を選びます。「紹介された顧客は、何を最初に買うのか」という視点で選びます。

④話される場所を選ぶ

お客はどこでその商品を口コミするのかを選びます。

⑤ 話題となるきっかけ

話題となるきっかけを選びます。「トップ紹介マンは、どんなきっかけでそれを話すのか」という視点で考えます。

⑥ 伝えられるメッセージを調べる

「トップ紹介マンは、どんな言葉を使ってそれを紹介するのか」という視点で調べます。

実際の事例(#ミレニアルnote) で解説

この書籍を読んで、ぜひ自分も口コミ設計(UGC設計)を試してみたいと思い、過去に#ミレニアルnote という企画を立ち上げてみました。企画の内容としては、

  • 高校生~大学生が、自身の消費体験をnoteというブログメディアで執筆する
  • Twitter上で #ミレニアルnote のハッシュタグで投稿すると、ツイッター上で話題になる
  • 特によかったものは、社会人が記事にサポート(寄付)をする
  • 社会人からすると、「生の若者の視点に触れられる」、学生からすると「自分の知名度を社会人にアピールでき、かつお金が入る」

といったものでした。 結果から言うと、

  • #ミレニアルnote 記事投稿数110件
  • 寄付金額は10万円以上
  • 一部の記事がNews Picks、はてなブックマークで大バズ

といった結果になりました。

口コミ伝染病 のフレームワークの通り実行してみました。

顧客満足度を高めるのではなく、期待値を下げてギャップを生む

記事を書く主体は学生ですので、読者である社会人は期待値が低いはずです。一方で、ツイッター上の優秀な学生の記事は、20-30代では理解できていなかったような新しい視点が多く、また非常に品質の高い記事も多く、これがギャップになりました。実際にTwitterの口コミを見ると、以下のようなコメントが多くありました。

商品の品質を上げるのではなく、劇的な体験と商品の中に口コミしやすいプロットを作る

今回、ユーザーは大きく分けて2層いて、以下のような行動を期待していました。

  • 20代後半以上の社会人:学生の記事を読む/学生の記事をシェアする/学生にサポート(寄付)する
  • 10-20代前半の学生:自身の消費体験を書く/SNSで投稿する/社会人からサポートを受ける

具体的な施策は、企画をバズらせる方法 ~#ミレ二アルnoteの施策を種明かししてみた ~ にて解説していますが、

  • 社会人には「学生が寄付してもらって喜んでいること」をアピール → 「次の世代の若者を支える」という劇的な体験、「若い人がこんないい記事書くなんて」という口コミしやすい「ギャップ」を含んだプロットで口コミを促す
  • 学生には「寄付してもらったことを感謝するようにアピール」させる → 「フォロワーが増える!儲かる!」という劇的な体験、さらにほかの学生に非間接的にそのメッセージを口コミさせる

といった施策を取りました。

 

https://twitter.com/PATO_JAZZMAN/status/1082201412073775104

https://twitter.com/taremayu_sue/status/1082195482745528320

 

詳しくはTwitter上で#ミレニアルnote でハッシュタグ検索すると、当時の様子がなんとなくわかるかと思います。

≫ミレニアルnote | Twitter

口コミを顧客に任せるのではなく、口コミの仕方を作る

二つの異なるターゲットに、以下のように口コミの仕組みを作りました

  • 社会人:「寄付したことが分かるように、投稿してくださると、学生さんがさらにやる気がわくと思います!」 → 学生にとっては「記事を書くだけでお金がもらえるらしい」という劇的な体験が口コミされる
  • 学生:「寄付されたらツイートして感謝すると、たぶん社会人はもっと寄付してくれます」→ 社会人からすると、「若い子への可能性を自分が支援できる」という劇的な体験が口コミされる

 

口コミはどんな媒体でも最高の効果を生むのではない

こちらの口コミは、いずれも口コミが生まれやすいコンディションでした。

  1. その商品は集団で利用するか → TwitterなどのSNS、SlackやChatWorkなどのチャットツールで拡散されやすいトピック
  2. 誰とでも話題を共有できるような話題か → 学生の知見についてオンライン上でコミュニケーションされる

実際のTwitter上のUGCを見る限り、おそらくはそんな感じになったのではないかと思います。

口コミプロセスのデザイン

口コミプロセスのデザイン

  1. お客の声を集める
  2. 口コミを伝染させる人を選ぶ
  3. 話題にする商品を選ぶ
  4. 話される場所を調べる
  5. 話題となるきっかけを調べる
  6. どのようなメッセージで口コミが生まれるか調べる

でしたが、今回のミレニアルnoteでは、以下のように設計しました。

  1. お客の声を集める→ 既存顧客がいないので中略
  2. 口コミを伝染させる人を選ぶ → ミレニアルnoteを書いてバズった人。また、ソーシャル上の影響力(フォロワー)が多い人
  3. 話題にする商品を選ぶ → ミレニアルnote
  4. 話される場所を調べる → Twitter上、もしくはビジネスチャットツールでのシェア → ランチ、ディナーなどで口コミ発生 | 学生はTwitter
  5. 話題となるきっかけを調べる → ランチの話題/Slack, Chatworkでの雑談すれで話題
  6. どのようなメッセージで口コミが生まれるか調べる  → 「今の学生ってすごいよね」 | 「始めて書いた記事でお金がもらえた!」「すごい人が記事書いたらフォローしてくれた!」

実際にすべて設計したうえでやったわけではないですが、8割くらいはイメージして口コミ・UGCデザインを行いました。

最後に

ということで、口コミ・UGCはデザインできるという記事でした。もう少し具体的に見たい!という方は、こちらの書籍がおすすめです。Kindleで読めるそうです。

≫口コミ伝染病

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≫DAI | Twitter