フロントエンドエンジニアに必要なスキル16選!現役エンジニアが生存戦略を紹介
「フロントエンドエンジニアに必要なスキルには何がある?」
「フロントエンドエンジニアとしてレベルアップしたいけど、どのようなスキルを身につけるべき?」
このように思ったことはありませんか?
本記事では、フロントエンドエンジニアに必要なスキルを現役のエンジニアが紹介します。
・フロントエンドエンジニアにおすすめの資格
・フロントエンドエンジニアになるための勉強法
フロントエンドエンジニアを目指している人やスキルアップしたい人は、ぜひご一読ください。
目次 (PRも含まれます)
フロントエンドエンジニアとは
フロントエンドは、ユーザーが直接操作する部分、すなわちWebサイトやアプリの外観、UIを意味します。
フロントエンドエンジニアは、一つの用語で多岐に渡る職種を示しています。基本的に、ウェブサイトの構築を担当するフロントエンドエンジニアは、多くの場合「コーダー」という名称で呼ばれています。
「フロントエンドエンジニア」という呼び方は、Webアプリの開発に従事するエンジニアを指す場合が多いです。
フロントエンドエンジニアの仕事内容
フロントエンドエンジニアの仕事内容は、主に以下の4つです。
- レイアウトを考える
- UIを実装する
- APIとの連携を行う
- テスト、デバッグ
レイアウトを考える
フロントエンドエンジニアは、デザイン案をベースにして、HTMLとCSSを活用しレイアウトの構築を行います。
デザイナーが不在の場合、デザイン業務も引き受けることがあります。
HTMLでコーディングする際、どのタイプのカラムを選択するか、左右の表示位置をどうするかなど、レイアウト設計には細かな設定が求められます。
UIを実装する
次にUIの実装をします。全体のレイアウトが整った後は、細かい部品や文字などを実装していき、UIが形成されていきます。
APIとの連携を行う
APIとの連携も大切な作業です。Webアプリケーション開発時、バックエンドエンジニアによって構築されたデータベースとのコミュニケーションはAPIを介して実施されます。
フロントエンドエンジニアは、HTTPリクエストの動作を把握し、APIを介してデータを取り出す方法の習得が求められます。
テスト、デバッグ
最後に、テストやデバッグの作業があります。
Webアプリケーションを開発する際には、JavaScriptなどで書かれたコードが正しい挙動をしているかを確認し、問題があれば修正を行います。
これには自動テストや単体テストの実装が含まれることが多いです。
コーダーやマークアップエンジニアとの違い
コーダーやマークアップエンジニアの主な仕事は、渡されたデザインをもとに、企業のホームページやランディングページをコーディングすることです。
コーディングの際には、主に以下の言語を使います。
- HTML
- CSS
- jQuery
コーダーは基本的に、WordPressやランディングページのコーディング(マークアップ)を対応します。
マークアップエンジニアは、デザイナーの意図やサイトの目的を把握したうえで、UXが良くなるよう、改善することもあります。
ただ、どちらもデザイナーからもらったデザインファイルを元に、デザインどおりにHTMLやCSSをコーディングしていく仕事が中心です。
Webデザイナーとの違い
Webデザイナーは、サイトのビジュアルデザインを担います。ターゲットとなるユーザーの特性を予測し、ユーザーインターフェースのレイアウトや配色などを決めます。
IllustratorやPhotoshopなどのデザインツールを活用し、具体的にデザインを確定していきます。
バックエンドエンジニアとの違い
フロントエンドからの情報はバックエンドでサーバーによって受信され、以下を行います。
- データベースとの連携
- 外部サービスとの連携
- 複雑な計算作業を実行
ログイン機能を例に話すと、実行されるプロセスは以下の通りです。
- ユーザーからID・パスワードを受け取る
- データベース側にそのID・パスワードがあるか問い合わせ
- ログインができるように認証情報を返す
フロントエンドエンジニアとして活躍するうえで必要な知識・スキル8選
フロントエンドエンジニアになるために必要な知識やスキルは以下の通りです。
- プログラミングスキル
- ライブラリの知見
- フレームワークに関する知見
- 開発者ツールを使うスキル
- デザインスキル、UI/UXの知見
- レスポンシブデザインなどのデバイスに関する知識
- CMSに関する知見
- SEOの知見
それぞれ解説します。
プログラミングスキル
フロントエンドエンジニアが習得すべきプログラミングスキルは、以下に挙げました。
- HTML
- CSS
- JavaScript
- PHP
- Ruby
- Python
1つずつ見ていきましょう。
HTML
HTMLとCSSはインターネットページの作成に活用されます。HTMLはページのレイアウトを形成する言語です。
このような文章を書く際には、HTMLの<p>タグが使用されることが多いです。
見出しの部分では、<h2>や<h3>のようなタグを活用して構造を整えます。
CSS
CSSはWebページ制作に欠かせないもので、HTMLの色や配置を調整する言語です。
HTMLとCSSは常にアップデートされており、今はHTML5とCSS3が最新のバージョンになっています。
プログラミングの勉強を始めるにあたって、HTMLとCSSで画面を作ってみるのは面白いので、最初にこれらの技術を学ぶのが良いでしょう。
JavaScript
JavaScriptはWebページに動きを追加する言語です。
一例を挙げると、ボタンクリック時にアラートを出現させたり、アニメーションやスライドショーを組み込む際にも使われます。
かつてJavaScriptは、主にフロントエンドの構築に用いられることが多かったのですが、最近になってJavaScriptが発展し、バックエンドでも活用されるケースが増えています。
これに伴い、エンジニアであれば誰でもJavaScriptの学習機会が増えているのが現状です。
フロントエンドの開発には、ReactやjQuery、Vueなどのフレームワークがあり、これらは主にJavaScriptで実装します。
JavaScriptには、静的型付け言語にすることができるTypeScriptというフレームワークも用意されています。
ただ、今後Webアプリケーションの大規模な開発に関わるような場合、この言語を習得しておくことがおすすめです。
PHP
データベースから企業情報などを取得する時、PHPをバックエンド言語として使用することがよくあります。
もしコーディングの世界に足を踏み入れようと考えているなら、WordPressとPHPは理解しておくことをおすすめします。
逆に言えば、コーダーになる予定がなければ、PHPを詳しく知る必要性はありません。
Ruby
Rubyは日本製のプログラミング言語で、松本行弘氏によって開発されました。
Rubyは型宣言がなく、文法が簡潔で読みやすいため、サーバーサイドのプログラミングを初めて学ぶ人にもおすすめです。
一般的に、フロントエンドエンジニアがRubyを学ぶ必要性は低いといえます。
しかし、バックエンドエンジニアと連携してAPIの開発を行う場合には、Rubyの知識が役立つことがあります。
Python
PythonはWeb開発のみならず、データサイエンスやAI開発にも広く用いられる言語として知られています。
フロントエンドエンジニアにとってPythonの学習が必須ではないものの、サーバーサイドで作業する可能性がある場合、Pythonの知識がプラスになることがあります。
フロントエンドの開発者がサーバーサイドのプログラミング言語を習得することは、直接的には必須ではありませんが、プロジェクトの全体像を把握し、チーム間のやり取りを円滑にするのに役立ちます。
ライブラリの知見
JavaScriptなどで作業するフロントエンドエンジニアは、多くのライブラリを使用します。代表的なライブラリは下記のとおりです。
- jQuery
- React
個々の特徴や使用法の違いを理解しておきましょう。
さらに、ライブラリのバージョンアップに適応するためには、最新のトレンドを常に把握しておく必要があります。
フレームワークに関する知見
CSSフレームワークは、CSSで使われる部品や色を簡単に適用できる仕組みです。
たとえば、CSSフレームワークを活用することで、以下を容易に実現できます。
- ボタンの色を青色にする
- ボタンを押した時にローディングアクションをつける
「Bootstrap」は、古くから人気のあるCSSフレームワークの一つです。
最近では、JavaScriptのフレームワークと並行してTailwindというCSSフレームワークの使用が一般的になってきました。
BootstrapかTailwindかを選ぶにあたり、おすすめをするのは難しいですが、Bootstrapに慣れたらTailwindの使用を始めるのも一つの方法です。
開発者ツールを使うスキル
開発ツールを使うことは、フロントエンドのエンジニアにとって極めて重要な能力となります。
フロントエンドの開発者は、デベロッパーツールを使ってブラウザ上で直接デバッグを行うことがあります。
開発者ツールを活用することにより、以下の点を確認することが可能です。
- フロントエンドのログ
- APIリクエストの正確性
- ネットワークの通信状態
ほとんどのブラウザでは、「F12キー」を押すか、右クリックして「検証」を選ぶことで開発者ツールが使えます。
デザインスキル、UI/UXの知見
フロントエンドエンジニアには、Webデザインの能力とUI/UXの知識が必要とされています。Webデザインが可能であれば、デザインからコーディングまで一連の作業を行えます。
アプリケーションの開発においてデザインとフロントエンドの実装を一人でこなせると、市場価値が高まります。さらに、デザインのコンポーネントを作成することも可能です。
同様に、UI/UXについての知識も欠かせません。ユーザーが直感的に使え、ストレスフリーであるインターフェースを設計する能力が不可欠です。「Fの法則」などの原則を理解しておくことが推奨されます。
UI/UXの原理や方法を修得すれば、利便性に優れたサイトやアプリケーションを作成するときに知識を活用できます。
フロントエンドの開発を行う人には、プログラミングスキルのみならず、デザインの技術とUI/UXの理解も必要とされます。
レスポンシブデザインなどのデバイスに関する知識
フロントエンドエンジニアは、レスポンシブデザインの理解も重要です。
現在のWeb開発においては、いろいろな画面サイズのデバイスへの対応が求められます。各デバイスに適した表示ができるようにデザインの調整が不可欠です。
レスポンシブデザインを適用するには、CSSのメディアクエリを利用して、デバイスの画面サイズをもとに以下のような異なるスタイルを適用します。
- 大きなディスプレイ:情報を2列で表示
- スマートフォンなどの小さい画面:1列で表示
レスポンシブデザインの適切な実装のためには、異なるデバイスで実際にウェブサイトをチェックします。
レスポンシブデザインを理解していると、どのようなユーザーにも対応できる使い勝手の良いサイトやソフトウェア開発ができます。
CMSに関する知見
CMSは「コンテンツ マネジメント システム」の略称で、ブログや企業のウェブサイトなどを手軽に作成できるツールです。
フロントエンドエンジニアにとって、CMSを構築する機会は多いといえます。企業のホームページを作る際は、基本的にWordPressを利用するケースが多いからです。
WordPressでHTMLやCSSを使う頻度は多いので、WordPressの操作方法や実装を習得しておくことをおすすめします。
SEOの知見
SEOは「Search Engine Optimization」の略で、GoogleやYahoo!などのページで上位に表示されることを目指す施策のことです。
通常、SEO対策はWebマーケティング担当者が実施することが多いですが、フロントエンドエンジニアにも大切です。
なぜかというと、ウェブサイトのマークアップ方法によって検索結果の順位の変動が起こることもあるためです。
たとえば、以下知識の理解は欠かせません。
- noindex:Googleで検索したページに対してGoogleに登録するかどうかを決める
- nofollow:リンクジュース(リンク先に対しての評価)を渡すか渡さないかを決める
他にも、Googleがコンテンツの内容を判断するため、titleタグやh1・h2タグが必要になることも理解しておきましょう。
これらの知識を駆使してマークアップを行うことが非常に大切です。
フロントエンドエンジニアとしてプラスアルファで獲得したい知識・スキル8選
フロントエンドエンジニアが基本的な知識に加えて身に付けたい、知識やスキルについて解説します。
- バックエンドに関する知識
- 要件定義・機能設計のスキル
- AIの知見
- プロジェクト管理のスキル
- BaaSの知見
- PWAの知見
- SPAの知見
- WebAssemblyの知見
順番に見ていきましょう。
バックエンドに関する知識
バックエンドはフロントエンドと違い、サーバー・データベース・API等に対するリクエストを行う言語です。
以下はバックエンドのプログラミングにおける、人気のある言語です。
- PHP
- Ruby
- Java
- C#
以前は JavaScript をフロントエンドのみに使うことがほとんどでした。
しかし、現在はNode.jsの進化により、サーバーサイドのプログラミングにも頻繁に使われています。
PHPはWordPressと共に使われることがよくあるので、コーダーを志望する人にはPHPの勉強をおすすめします。
大規模な開発に取り組む場合、RubyやPython等の別のプログラミング言語を学んでおくと便利です。
要件定義・機能設計のスキル
要件定義と機能設計を熟知していると、上流工程で働くフロントエンドエンジニアになることができます。
要件定義においては、顧客の課題や求めるものを把握し、それを叶えるためのWebサイトやアプリの要件を決めます。
開発の実現可能性、コストや期間を考慮しながら、システム全体の大枠を明らかにしていくことになります。
機能設計時には、要件定義に基づいて、以下のような具体的な仕様を決めていきます。
- アプリの機能や性能
- 管理画面の構成
- 操作方法
さらに、詳細設計のフェーズでは、プログラミングに必要な画面のレイアウトやソースコードの大枠などの資料を作り上げます。
プログラミング技術のみならず、要件定義や機能設計を行うことができれば、フロントエンドエンジニアとしての需要が高くなります。
AIの知見
AIの使用は生存戦略の一つです。
現在、フロントエンドの開発はAIを利用してほぼすべてが実行できます。そのため、AIの活用で自身の生産力を極限まで引き上げることが大切です。
その一方で、AIでも対応できるようなコーディングを長期間行っていると、クライアントとしては「AIを活用すれば良いのでは?」と考えます。
そうなった場合、フロントエンドエンジニアへの仕事の依頼が減ることになりかねません。
プロジェクト管理のスキル
プロジェクト管理スキルがあると、上流工程で活躍できます。
アプリやWebサイト開発においては、様々な職種の人たちが関与し、数多くのステップを踏むため、適切な進行管理が必要不可欠です。
プロジェクト管理では主に以下を行います。
- スケジュール作成
- メンバーの役割分担
- スケジュール・進捗管理
- リソース管理
- 品質管理
プロジェクトの全体を効率的に管理するスキルを持っていると、プロジェクトリーダーやマネージャーへの昇進が期待できるでしょう。
BaaSの知見
BaaS(Backend as a Service)に詳しいと、フロントエンドエンジニアにとって非常にメリットがあります。
バックエンドエンジニアが不足している状況下でも、この方法によりフロントエンド側は複雑なバックエンドプロセスを直接扱えるようになります。
例えば、Googleが提供する「Firebase Authentication」というサービスは、認証手続きを手軽に導入できるように設計されています。
この機能を用いることで、フロントエンドエンジニアは難解な認証ロジックを逐一作成しなくても、数行のコードを書くだけでセキュアな認証システムを導入可能です。
このタイプのBaaSは、特にリソースが少ないスタートアップや開発チームで便利です。
PWAの知見
PWAとは「Progressive Web Apps」の略称で、ネイティブアプリのように使えるスマホ向けのWebサイトやWebアプリのことです。
Googleが促進している技術で、ネイティブアプリのようなスムーズなユーザー体験をWebアプリケーション内で実現することを目指しています。
PWAの主な特徴としては以下のとおりです。
- ホーム画面への追加
- フルスクリーン表示
- プッシュ通知の受信
- オフライン対応
- インストール不要でブラウザから直接アクセス可能
「Service Worker」というJavaScriptの実行環境を利用しており、フロントエンドエンジニアはこの技術に関しての知識を深めることが必要です。
SPAの知見
シングルページアプリケーション(SPA)の理解も不可欠です。
SPAはページの再読み込みなしに数多くの機能を提供する方法であり、フロントエンド開発のトレンドの一つです。
SPAの活用により、利用者に対して円滑でインタラクティブな体験を提供し、スマートフォンアプリに匹敵する使い心地のWebアプリケーションを実現できます。
これらのテクノロジーを活用することにより、以下のタスクをスムーズに実行できます。
- データのバインディング
- コンポーネントの管理
- ルーティング処理
フロントエンドエンジニアがフレームワークを深く理解していれば、SPAの構築がずっとスムーズに進み、さらに高度なアプリケーション開発にも携われます。
WebAssemblyの知見
WebAssemblyはブラウザ上で作動する言語です。WebAssemblyで開発された機能は素早く作動し、ユーザーエクスペリエンスの向上させます。
なお、WebAssemblyはJavaScriptと組み合わせることを基本として設計されています。
JavaScriptとともに機能し、既存のWebアプリケーションに少しずつ導入することが可能なため、今後はWebAssemblyの利用が拡大すると期待されます。
フロントエンドエンジニアが取得したい資格
フロントエンドエンジニアが持っておくと良い資格は、次のとおりです。
- 基本情報技術者試験
- HTML5プロフェッショナル認定試験
- Webクリエイター能力認定試験
- Web解析士
- Webデザイン技能検定
それぞれ見ていきましょう。
基本情報技術者試験
ITパスポートを主催する独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の試験の一つに、基本情報技術者試験があります。
経済産業省の認定を受けた国家資格で、就職や転職においても使用できます。
このテストは、ITエンジニアが知っておく必要がある基本的な知識を対象としており、初心者におすすめの資格です。
さらに、ITの領域だけでなく、マネジメントや会計のスキルも必要とされているので、ITパスポートと比較して実践的な知識が豊富になっています。
IT分野での仕事に必要な基本的な知識を体系的に修得できることから、将来エンジニアを目指す方におすすめです。
HTML5プロフェッショナル認定試験
HTML5プロフェッショナル認定試験は、HTML5・CSS3・JavaScriptを活用し、HTMLのコンテンツ制作や装飾を修得できる認定資格です。
試験にはレベル1とレベル2の2つが存在し、両方とも最新のマークアップ技術を習得できるという特徴があります。認定は5年間有効で、期間が過ぎると再認定が必要になります。
HTML5プロフェッショナル認定試験には、テストセンターもしくはオンラインでの受験が可能なので、受験が容易です。
Webクリエイター能力認定試験
Webクリエイター能力認定試験は、株式会社サーティファイが開催する資格認定です。
Webサイトやページを作成する上でフロントエンドエンジニアにとって欠かせないスキルや知識を修得できる資格です。
Webデザインを体系的に理解できるので、フロントエンドエンジニアの初学者にもおすすめです。
試験のレベルにはスタンダードとエキスパートの2つがあり、習得した知識やスキルのレベルに応じて選べます。
Web解析士
Web解析士とは、WACA(一般社団法人 Web解析士協会)が提供する公式な認定を受けた資格のことです。
Webサイトで収集した数値や情報を分析し、改善策を講じる作業をWeb解析と呼びます。その専門知識を持つWeb解析士は、Webサービスを推進する上で必要不可欠な存在です。
さらに、指示に従ってサイトを構築・改修するだけでなく、自らWebの課題を見つけ出し解決できる能力が身につくため、フロントエンドエンジニアとして次のステップを目指す人にもおすすめです。
Webデザイン技能検定
Webデザイン技能検定は、厚生労働省が監督する国家資格の一つです。
Web業界で唯一の国家資格であり、基本的なWeb技術や実際の作業能力を向上させることができる資格として知られています。
Web分野では視覚情報を重視することが多いですが、標準化団体の規則に沿って知識を得ることで、基本的な力をつける上でとても役立ちます。
試験は難易度が3つに分かれており、自分の実力に合わせたレベルで受験することができます。
フロントエンドエンジニアがプラスアルファで取得したい資格
スキルアップを目指すフロントエンドエンジニアにおすすめの資格をお伝えします。
- PMP
- Ruby技術者認定試験
- CIW JavaScript Specialist
どのような資格かそれぞれ解説します。
PMP
PMPは「Project Management Professional」の略で、プロジェクト管理の分野で世界的に認められた資格です。PMPを取得することで、プロジェクト管理の専門的な知識が証明できます。
PMP資格の取得条件として、実務でのマネジメント経験および特定の研修を受けることが必要です。
試験は以下3つの領域にわたって問題が出されます。
- 人
- プロセス
- ビジネス環境
将来、プロジェクトマネージャーやディレクターのようにプロジェクト全体を統括する立場を目指すなら、PMPの資格を取得しておくことをおすすめします。
試験は日本語で受験可能な国際資格です。また、資格は3年おきに更新する必要があります。
Ruby技術者認定試験
Ruby技術者認定試験は、一般財団法人Rubyアソシエーションによって管理される認定資格です。
Rubyのスキルと専門性を証明するための資格であり、システムの設計や開発、運用を手掛けるエンジニアにおすすめです。
試験にシルバーとゴールドの2つのレベルが存在し、ゴールドレベルを受験するためには、シルバーレベルでの合格が必要です。
合格率が高めでRubyの基礎的な知識を得られることから、プログラミング初心者や実際に使用する人にとって、取得しておくべき資格と言えます。
CIW JavaScript Specialist
CIW JavaScript Specialistは、Webやインターネット分野で認められている国際資格「CIW(Certified Internet Webprofessional)」の一つです。
国際資格として、日本だけではなく世界各地での使用が可能なことが強みです。
JavaScriptの基本的な使い方や、制御、関数、変数、デバッグなどの知識を学べます。
JavaScriptは、Webブラウザで機能するスクリプトの1つであり、フロントエンドエンジニアなら習得しておく価値のある言語と言えます。
ただし、CIWを運営しているのはアメリカの企業なので、日本語のページや試験の問題が提供されていない点は要注意です。
CIW JavaScript Specialist公式サイト
フロントエンドエンジニアになるための勉強法
フロントエンドエンジニアに未経験から挑戦するために必要な準備について説明します。
前提として、エンジニア未経験で仕事を始めるには、アプリケーションやホームページを自力で作成できる程度に独学でスキルを身につけることが必要です。
書籍・動画・スクールで学ぶ
手始めに、本や動画などを利用してプログラミングの基礎を勉強します。学ぶべき具体的な項目は次の通りです。
- HTML
- CSS
- JavaScript
- jQuery(コーダーを目指す場合)
- ReactもしくはVue.js(Webアプリケーション開発のフロントエンドエンジニアを目指す場合)
- Linuxコマンド
コーダーになるためには、Webサーバーを利用して静的ファイルをアップロードし、Webページを公開するプロセスを経験することが求められます。
Web分野でフロントエンドエンジニアを目指すなら、PaaSを活用したWebアプリケーションのデプロイが重要なスキルになるため、その習得に努めましょう。
プログラミングの基本を修得した後は、就職に役立つ知識をしっかりと学びます。この場合、プログラミングスクールに参加するのも、一つの方法です。
ただし、基本を押さえてからプログラミングスクールへの参加をおすすめします。
自分で基礎を築いた上で、うまくいかない時はサポートしてもらう目的でプログラミングスクールへ参加する、というスタンスが良いでしょう。
おすすめのプログラミングスクールはRUNTEQです。ここでは、バックエンドおよびフロントエンドに関する知識を習得できます。
そのため、上記の方向で進めてみるのが良いと思います。
ポートフォリオを作る
ポートフォリオは、就職活動で作る履歴書や職務経歴書と同じような役割のものです。
今までに修得したスキルや、携わってきたサービスの詳細をまとめ上げた資料を指します。
ポートフォリオを作成する手順については、関連記事を確認してください。
実際に仕事を受ける
フロントエンドエンジニアの技術を身に付けるためには、実際に手を動かす学習が重要です。
書籍や動画、スクール等で基本を学んだら、次は実際の仕事を引き受けて、実践力を養うことが大切です。実務経験を積むことで、以下のスキルが身に付きます。
- クライアントとのコミュニケーション
- デザイン要件を汲み取る力
- 本番環境下でのコーディング、デバッグ
仕事を受注するには、主に次の方法があります。
- クラウドソーシングに登録して案件を受注する
- エージェントに登録し常駐案件などをこなす
また、社内SEやWebデザイナーの職に就き、自社のウェブサイトや製品のフロントエンド開発を手掛けることによって、実用的なスキルを身につけることが可能です。
実務の経験を積むことにより、フロントエンドエンジニアの技術をしっかりと習得することができます。教材や動画だけでは不足しがちな、実際の作業での経験を得ることが可能です。
デザインツールを使ってみる
フロントエンドエンジニアとしてスキルアップを目指すなら、デザインツールの利用もおすすめです。
HTMLやCSSのコーディングだけでなく、実際にデザインを制作する能力を養えば、さらに複雑な開発に挑戦できます。
主なデザインツールとして、次のものがあります。
- Photoshop
- Illustrator
- Adobe XD
- Sketch
- Figma
これらのツールを活用すれば、ワイヤーフレームの構築やプロトタイプの制作、さらにはコンポーネントのデザインが可能になります。
デザインツールの操作に長けていると、デザイナーとのコミュニケーションが円滑です。また、デザインとコーディングのギャップを最小にできます。
デザインの知見を広げることで、UI/UXの向上にもなります。使いやすさを重視したUIを考えることができ、利便性の高いWebサイトやアプリの開発が可能です。
【おすすめ】未経験OKの企業に転職する
スクールで技能を身につけたなら、未経験者でも入社できる企業へ就職し、2〜3年間の実務経験を積めるとベターです。
職場で実際に働き出すと、スクールや本では出くわさない困難にぶつかることがあります。特に以下は、スクールや本で体験するのは難しいです。
- プロ意識
- 納期厳守の緊張感
- トラブル発生時の対応
プログラミングでは、システムにエラーが生じた時、夜通しで修復する場合があります。
最初から個人で仕事を任されることはなく、上司や先輩、同僚と一緒に作業を進めることができるので、心配する必要はありません。
フロントエンドエンジニアのキャリアパス
フロントエンドエンジニアの主なキャリアには、次のようなものがあります。
- Webデザイナー
- サーバーサイドエンジニア
- フリーランスのフロントエンドエンジニア
それぞれのキャリアパスを見ていきましょう。
Webデザイナー
フロントエンドエンジニアとしてのキャリアの選択肢の一つに、Webデザイナーがあります。
フロントエンド開発の経験を活かしてデザインすることで、機能性と魅力を兼ね備えたウェブサイトやアプリケーションを作成可能です。
一方、デザイナーとして必要とされるスキルには、デザインの構想・計画力、デザインソフトの使用技術、色の感覚やレイアウトのセンスなどがあります。
エンジニアの時と比べ、グラフィックデザインに関する基本的な知識や実務経験をより身につけることが求められるでしょう。
サーバーサイドエンジニア
サーバーサイド(バックエンド)エンジニアは、フロントエンドエンジニアのキャリアパスの一つとして考えられます。
Webアプリケーションやサービスの裏方で、データベースやAPIの設計、および開発に従事する職業です。
フロントエンドの開発の経験があることで、クライアントサイドの機能について詳しく知っているため、サーバー側の実装作業を手際よく進めることができます。
しかし、フロントエンドとサーバーサイドで採用されるプログラミング言語は異なるので、サーバーサイドにおける言語の修得は必須です。
さらに以下の知識も不可欠です。
- データベース設計
- API設計
- セキュリティ対策
- サーバー運用
フロントエンドとバックエンドの両方を扱うことができるエンジニアになり、スキルを高めることで、さまざまな案件に対応できるようになります。また、キャリアアップも見込めます。
フリーランスのフロントエンドエンジニア
フロントエンドエンジニアとしてのスキルと実務経験を積んでから、企業に所属しないでフリーランスを選ぶこともできます。
フリーランスのメリットは、仕事の進め方や給料の選択肢が多いことです。自分の生活パターンに合わせた仕事が可能で、プロジェクトに基づき高収入の案件に関われます。
一方で仕事を探したり、納期や価格の話し合い、事務作業など、全てを自分一人でこなさなければならないというデメリットも存在します。
フリーランスを志す際には、まずは企業で働きながらポートフォリオを充実させ、能力と経験を重ねていくことをおすすめします。
その上でクラウドソーシングやエージェントから仕事を得て、少しずつ独立に向かうと、財政的にもスキル的にも心強いです。
フロントエンドエンジニアの将来性:近い将来は安泰、長期的には不明
フロントエンドエンジニアの未来について説明していきます。将来の見通しについては、はっきりと明るいか暗いかを断言するのは難しいです。
「フロントエンドエンジニアに未来がない」とは、10~20年ほど前から常に言われ続けています。
しかしながら、フロントエンドエンジニアの必要性は今も高まっているのが実態です。
その結果、将来性がないとは明言できませんが、確実にあるとも言えない状態になっています。
よって、フロントエンドエンジニアの未来が明るいと信じる人たちの意見と、そうではないと考える人たちの意見、さらには私自身の見解を紹介したいと考えています。
すぐにフロントエンドエンジニアの仕事はなくならない
最初に、短期的に見た場合は需要は高いことを説明します。
DX推進に伴い、各社がITに対する投資を強化していることから、フロントエンドエンジニア、特にコーダーやWeb分野のフロントエンド技術の需要は増えています。
この状況を考慮すると、需要が増していると思っても不思議ではありません。
需要が高まればフロントエンドエンジニアの業務量も増加し、単価も上がります。
もう一つの見解は、UI/UXへの投資が増えているということです。
2000年代と比べてみると、2020年代ではアプリケーションがいっそう複雑化しています。スマホアプリのように快適に動くアプリケーションの制作が求められるようになりました。
したがって、多数の企業がフロントエンドエンジニアを雇用して、ユーザーの利便性を高めている風潮があります。
この傾向は将来的に大幅に変わることはほとんどないと見込まれます。以上がポジティブな見解です。
長い目では専門性が必要
一方、フロントエンドフレームワークの変遷が早いという状況も存在します。
例として、ReactやVue.jsのようなJavaScriptのライブラリは特に該当し、以下のようなケースが最近増えている傾向にあります(2024年2月現在)。
- フロントエンドのフレームワークが人気になってからすぐに廃される
- 唐突に仕様の変更が行われて、その言語をそのまま使い続ける意思決定ができなくなる
このような事情から、フロントエンドフレームワークを採用する際、ネガティブな見解を持つ企業が増えていくことが予想されます。
加えて、AIによるフロントエンドのコーディングの自動化が進んでいます。
「Visual Studio Code」のような開発エディターでは、AIによる自動コード生成の機能が備わっています。「Github Copilot」はその代表的な例です。
また、「STUDIO」というサービスを活用することで、エンジニアがコーディングをすることなく、Webデザインを作成することが可能です。
他にも以下で紹介されているように、ノーコードやローコードの技術の普及で、もはやエンジニアがコードを書くことなく、ホームページの構築が可能になるアプリが多く誕生しています。
参考:【2024年初心者向け】ホームページを格安・無料で制作できるおすすめノーコードツール12選|LEAPHLET(株式会社LEAPH)
しかし、HTML・CSS・JavaScriptのコーディングスキルだけでは、将来フロントエンド開発者として仕事を得る際に、AIに取って代わられるリスクがあると言われています。
なお、ノーコードツールについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
参考:【2024年最新】ノーコードツールBubble(バブル)とは?デメリットからよくある質問まで完全解説|Walkers
フロントエンドエンジニアの将来性に対する個人的な見解
将来性を考慮すると、HTMLやCSS、JavaScriptのコーディングスキルだけを持っている場合、フロントエンドエンジニアとしてのキャリアはだいぶ狭まってしまうと思います。
デザインの指示に従ってHTML、CSS、JavaScriptでウェブページを制作する仕事は、AIの知能が向上するに伴い、自動化へと進む可能性があると言えます。
そのため、以下に挙げる経験がなければ、フロントエンドエンジニアとして成功するのは非常に難しいでしょう。
- デザインから入ってコーディングする
- Webアプリケーションのように複数のコンポーネント部品を使って、いろいろなサーバーサイドと組み合わせて作る
低レベルのスキルしかないフロントエンドエンジニアの未来は、暗くなると予想されます。
しかし、高い技術力を誇るフロントエンドエンジニアであれば、未来は非常に明るいと言えます。
フロントエンドエンジニアとしてスキルを身につけていこう
フロントエンドエンジニアとして活躍するには、HTML・CSS・JavaScriptや、ライブラリなどのスキルが必要になります。
キャリアアップを目指す場合は、バックエンドのスキルやAIの知見もあるとベターです。
スキルを身につければ、将来性のあるフロントエンドエンジニアとして活躍できるので、本記事を参考にスキルアップを図りましょう。