Webエンジニアは増えすぎ?現役エンジニアの目線で実情を徹底解説
近年、Webエンジニアの需要が高まりを見せています。
その一方で、Webエンジニアの人口も増加傾向にあるため、「Webエンジニアは増えすぎているのでは」との指摘も聞かれます。
そもそもWebエンジニアの需要と供給はどのような状況にあるのでしょうか?Webエンジニアの将来性はどうなっているのでしょうか?
この記事では、
- Webエンジニアの人口増加の背景
- Webエンジニアの需要が高い理由
- Webエンジニアの将来性と課題
について、現役Webエンジニアの視点から詳しく解説します。
Webエンジニアの需要と供給の実情を知り、自身のキャリア形成に活かしていただければと思います。
目次 (PRも含まれます)
Webエンジニアは増えすぎ?
近年、Webエンジニアの需要が高まりを見せている一方で、その人口も増加傾向にあります。
その背景には、以下のような要因が挙げられます。
- Webエンジニアの給与水準・職場環境が改善したから
- プログラミングスクールバブルが起こったから
- ソフトウェアの需要が高まっているから
このような背景から、Webエンジニアの人口が増加するようになりました。
ここでは、Webエンジニアが増えすぎといわれる背景について解説します。
Webエンジニアの給与水準・職場環境が改善したから
Webエンジニアの人口増加の背景には、給与水準や職場環境の改善があります。
2000年代初頭、プログラマーの仕事は「3K(きつい、帰れない、給料が安い)」と呼ばれ、長時間労働やワークライフバランスの悪さが問題視されていました。
しかし、ソフトウェア業界が市場として大きく成長するにつれ、エンジニアの給与水準も適正化されました。
また、リモートワークの導入や服装自由、オフィス内のフリードリンクなど、企業の福利厚生の改善が進んだことも理由の1つです。
こうした労働環境の改善により、以前はプログラミングに興味がなかった層でも、Webエンジニアを目指すようになっています。
プログラミングの技術は身につけやすく、安定した収入が得られるという認識が広まったことで、Webエンジニアの人口が増加したと言えるでしょう。
プログラミングスクールバブルが起こったから
Webエンジニアの人口が急増した背景には、プログラミングスクールの台頭も大きな影響を及ぼしています。
2010年代に入ると、「未経験から年収1000万円を目指せる」といったキャッチコピーで、多くのプログラミングスクールが登場しました。
これにより、従来はコードを書くことが好きな人だけがエンジニアを目指していた世界に、全く関係のない層が殺到するようになったのです。
学生時代にプログラミングの経験がなかった人も、スクールでスキルを身につければ、フリーランスとして活躍できるというイメージが広まったのです。
その結果、経験の浅い人がたくさん参入してきたことで、Webエンジニアの人口が爆発的に増加することとなりました。
一方で、プログラミングスクールのマーケティングが過熱気味だったため、現実的には高年収を得るのは難しいこともわかってきました。
このような温度差から、「Webエンジニアは増えすぎ」という指摘も出てきているのが現状です。
ソフトウェアの需要が高まっているから
Webエンジニアの人口が増加した背景には、ソフトウェア業界全体の需要の高まりも大きな要因として挙げられます。
2011年に、ウォール街紙上で話題となった「ソフトウェアが世界を飲み込む」というコラムでは、ソフトウェア化の進展が予見されていました。
実際、その後の10年間で、さまざまな産業がデジタル化やオンライン化が進んでいます。
例えば、タクシー業界ではUberやUber Eatsのようなサービスが登場し、音楽業界でもCDからストリーミングサービスへと移行が進みました。
このように、あらゆる業界で従来のビジネスモデルが、ソフトウェアによって置き換えられていったのです。
また、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みも加速しました。
IT化が進んでいない企業でも、競争力を維持するためにデジタル技術の活用が求められるようになっています。
そのため、ソフトウェア開発を担うWebエンジニアの需要が急増しているのが現状です。
Webエンジニアの将来性
ここまで、Webエンジニアが増えすぎている要因について解説しました。
一方で、多くの人がWebエンジニアを目指す要因の1つに、将来性が高いといわれていることが挙げられます。
実際に、さまざまなWebサービスが増加することで、Webエンジニアの需要は高まりつつあるといえます。
しかし。実際に現場で働いているなかで感じることは、すべてのWebエンジニアに将来が約束されているわけではないということです。
ここでは、増えすぎているWebエンジニアの将来性について紹介します。
将来性がある・なしの両面で解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
Webエンジニアの将来性が高い理由
Webエンジニアの需要が高い理由としては、主に4つの要因が考えられます。
- Webサービスが増え続けているから
- 世間的にDXの対応が急務であるから
- IT人材が不足しているから
- 新しいWebサービスの開発需要が高まっているから
近年、さまざまな産業がオンラインに移行する傾向にあり、Webサイトやアプリケーションの開発需要が高まっています。
例えば、実店舗とECサイトの組み合わせなどが顕著で、多くの業界で取り組まれています。
また、世間的にDXの対応が急務であるという点も需要を生む大きな要因です。
一方で、IT業界全体でエンジニアの不足が深刻化しているのが現状です。
継続的な技術革新により、新しいWebサービスの開発需要が高まっています。
そのため、Webエンジニアの人口が増加しても、常に需要が生まれ続けている現状では、Webエンジニアの将来性は高いといえるでしょう。
Webエンジニアの将来性が低い理由
冒頭でもお伝えした通り、将来性はすべてのエンジニアに保証されているものではありません。
大きく分けて2つの理由から、Webエンジニアの将来性が危ぶまれるケースもあるからです。
Webエンジニアの将来性が低くなる1つ目の理由は、AIの発展によって単純なコーディング業務がAIに置き換えられるようになるからです。
近年、ChatGPTやGitHub Copilotといった生成AIの台頭により、コードの自動生成が進んでいます。
これにより、単純な実装作業を担うエンジニアの需要が減少する可能性があります。
2つ目は、Webエンジニアの人口が増加しすぎたことで、就職の難易度が高くなっているからです。
企業としては、より優れたWebエンジニアを採用したいと思うことが一般的です。
優れた知識やスキルを持ったWebエンジニアの需要は高まる一方で、ありふれたスキルしか持たないWebエンジニアが採用市場からはじかれる可能性があります。
将来性のあるWebエンジニアになるためには、需要のあるWebエンジニアになることが重要です。
業界で求められるスキルや知識を身につけられなければ、Webエンジニアとしての将来性が失われてしまうこともあるでしょう。
需要の高いWebエンジニアになるには
Webエンジニアとして長く活躍するためには、市場における需要の高さを維持し続ける必要があります。
需要のあるWebエンジニアになるためには、以下のようなことを意識しましょう。
- Web業界のトレンドに敏感になる
- 自走力を身に着けておく
- 需要の高い言語やスキル習得する
- ほかのエンジニアと差別化できる強みを作る
- 英語が読める/書けるようになる
- 技術の発信をする
それぞれのポイントについて、詳しく解説します。
Web業界のトレンドに敏感になる
Webエンジニアにとって、業界のトレンドを常に意識し続けることは欠かせません。
プログラミング言語やWebフレームワーク、ライブラリなどの技術は日々進化しており、企業が求める人材像もトレンドに合わせて変化しています。
したがって、Webエンジニアは最新の技術動向を把握し続ける必要があります。
新しい技術やツールの登場をいち早く察知し、自らスキルアップを重ねていくことで、市場における自身の価値を高めていくことができるでしょう。
ただし単に最新技術を追うだけではなく、それがどのようにWebサービスの開発に活かせるかを理解することも重要です。
最新動向を素早くキャッチアップし、自社のプロダクト開発にどう活用できるかを見極める力がWebエンジニアに求められるといえます。
自走力を身に着けておく
Webエンジニアとしての長期的な成功には、自律的に行動し、自ら問題を解決していく力が不可欠です。
新しい課題に直面した際、エンジニアには自ら原因を特定し、解決策を見出していく能力が求められます。
単にプログラミングのスキルがあるだけでは不十分で、問題発生時に冷静に分析し、改善策を立案できる思考力が重要です。
また、最新技術の習得においても、自発的な学習姿勢が欠かせません。
Webエンジニアに求められるスキルは日々進化しているため、常に新しいことを吸収し続ける必要があります。
受動的に知識を得るのではなく、自ら教育プログラムに取り組んだり、オンラインコミュニティに参加したりと主体的な学習姿勢が重要です。
このように、与えられた課題に応えるだけでなく自ら課題を発見し、解決策を生み出していく自走力を身につけることが需要の高いWebエンジニアになるための鍵となります。
需要の高い言語やスキル習得する
Webエンジニアとして長期的に活躍していくためには、企業が求める最新のスキルを身につけていく必要があります。
たとえば、近年ではAIやクラウド、モバイルアプリ開発など、新しい技術領域への注目が高まっています。
これらの分野に精通したエンジニアは、市場での需要が高くなっています。
一方で、ベースとなるプログラミング言語やフレームワークの習得も欠かせません。
Python、JavaScript、Rubyなどの主要な言語はもちろん、それぞれの特徴や最新動向を把握しておく必要があります。
さらに、UI/UXデザインや情報セキュリティ、データ分析など、専門性の高い関連スキルの習得にも取り組むことをおすすめします。
これらの能力を持つエンジニアは、市場から高い評価を得られるでしょう。
つまり、業界の需要を見極めながら、自身のスキルセットを常に最新のものに更新し続けることが、Webエンジニアとして生き残っていく上で重要なのです。
ほかのエンジニアと差別化できる強みを作る
Webエンジニアとして生き残り、需要を高めていくためには、他のエンジニアとは一線を画す強みを持つことが欠かせません。
具体的な方法としては、複数のスキルを磨いて幅広い対応が可能になることや、特定のドメインに深く特化した専門性を高めることが考えられます。
たとえば、フロントエンド・バックエンド・インフラなど、Webシステム開発の各工程に精通したフルスタックエンジニアは柔軟な対応が可能なため、企業から高い評価を得やすいでしょう。
また、人工知能やデータサイエンス、セキュリティなど、先進的な技術分野に詳しいエンジニアも極めて高い需要が見込めます。
加えて、特定の業界や業務プロセスに特化した知見を持つことも強みの1つになり得ます。
FinTechやヘルスケアなど、領域ごとの固有の課題に精通していれば、企業の課題解決に大きく貢献できるからです。
他社にはない独自の強みを作り上げていくことでWebエンジニアとしての優位性を確立し、長期的な需要を維持することができます。
英語が読める/書けるようになる
Webエンジニアとして長期的に活躍していくには、英語力の向上も重要な要素の1つです。
なぜならWebの分野では、最新の技術情報やドキュメントが英語で提供されることが多く、それらの情報を適切に理解し活用できる能力が求められるからです。
たとえば、公式ドキュメントやオープンソースプロジェクトのソースコードは英語で書かれていることが一般的です。
それらの情報を素早く把握し、必要に応じて翻訳したりアプライする力があれば技術の習得が格段に早くなります。
また、自身の技術情報を発信を英語で行うことで、より広範囲の人々に向けてプレゼンスを示すことができます。
グローバルな舞台で活躍したい場合には、英語での情報発信能力は必須といえるでしょう。
さらに、近年はリモートワークの普及により、海外の企業との協業の機会が増えています。
そのような場合に、英語でコミュニケーションを取れることは大きな強みになります。
技術の発信をする
Webエンジニアとしての需要を高めていくためには、自身の技術力を積極的に発信していくことが重要です。
たとえば、個人のブログやポートフォリオサイトを通じて、自身が取り組んだ開発事例や技術ノウハウを公開することで、自身のスキルを示すことができます。
また、オンラインのエンジニアコミュニティに参加し、質問に回答したり、技術情報を共有したりすることで、専門家としての評価を高めることも可能です。
Webエンジニアに向いている人
学習・成長意欲の高い人
Webエンジニアとして長く活躍するには、絶えず新しい技術を学び続ける意欲が必要不可欠です。
プログラミング言語やフレームワークはどんどん進化しているため、最新の知識を常に吸収し続けることが求められます。
単に習得した知識を使い続けるだけでは通用しません。
新しいトレンドを常にキャッチアップし、自発的に学習を重ねていくことが、Webエンジニアとしての成長につながります。
好奇心旺盛で、自己啓発に前向きな人がWebエンジニアに向いているといえるでしょう。
チームでの仕事が好きな人
Webエンジニアの仕事は、他部署との密な連携が不可欠です。
フロントエンド、バックエンド、インフラといった専門性の異なるエンジニアが協力して、1つのWebサービスを開発します。
そのため、チームで協力して業務を遂行できる人材が求められます。
また、ユーザーのニーズを把握するためにも、デザイナーやプロジェクトマネージャーなど、他職種とのコミュニケーションを円滑に取れる能力が重要です。
Webエンジニアには、人と人とのつながりを大切にし、チームワークを発揮できる資質が求められます。
臨機応変な対応力のある人
Webエンジニアの仕事には、予期せぬ問題に直面することが多くあります。
開発中にシステムエラーが発生したり、アップデートに伴う不具合が見つかったりと、思わぬトラブルに巻き込まれることがあります。
そのような状況下で冷静に問題の原因を特定し、迅速に解決策を見出す能力が求められます。
単に知識やスキルがあるだけではなく、状況に応じて柔軟に対応できる力が重要です。
臨機応変に問題に立ち向かい、解決に導くことのできる人がWebエンジニアに向いています。
ユニークな発想ができる人
Webエンジニアには、単に技術的な知識や実装スキルだけでなく、ユーザーの視点に立ったアイデアを生み出すことも求められます。
Webサービスの魅力を高めるためには、従来の発想にとらわれないひらめきやアイデア出しが不可欠です。
ユーザー体験の向上やデザインの改善など、Webサービスの付加価値を高めるためのアイデアを生み出せる人材が望ましいといえます。
自由な発想力と柔軟な思考力を持ち合わせた人がWebエンジニアに適していると言えるでしょう。
トレンドを敏感にとらえられる人
Webエンジニアには、絶えず変化し続ける業界のトレンドを敏感に捉える力が求められます。
プログラミング言語やフレームワーク、デザイントレンドなど、Webの技術は日々進化しています。
そのため、最新の技術動向をいち早くキャッチし、それらを自身のスキルに取り入れていくことが必要です。
また、企業のDXの推進やソフトウェア化の進展など、事業面でのトレンドにも目を向ける
自発的に情報を収集し、常に新しい知識を吸収し続けられる好奇心と探究心を持った人がWebエンジニアに向いています。
PDCAサイクルを意識した改善ができる人
Webエンジニアにとって、PDCAサイクルを意識しながら常に改善を重ねていくことは重要です。
システムを構築する際には、まずは要件定義から始まり、設計や開発、テスト、リリースと一連のプロセスを経て完成します。
そして、ユーザーの反応を確認し、次のプロジェクトにフィードバックしていくというサイクルを回し続けることが必要です。
単に仕様通りに作るだけでなく、自ら課題を発見し、改善案を立案して実行に移す力が求められます。
PDCA思考を忘れずに、改善を続けていける人材がWebエンジニアに向いています。
Webエンジニアは増えすぎているが将来性はある
今回は、Webエンジニアの需要と供給の実情、将来性について解説しました。
Webエンジニアの人口が増加傾向にあるのは、プログラミングスクールの隆盛や労働環境の改善などが背景にあります。
一方で、ソフトウェア需要の高まりやDX推進、IT人材不足などにより、Webエンジニアの需要も非常に高い状況です。
ただし、AIの発展によりコーディングの自動化が進んだり、人材過剰感も指摘されるなど、Webエンジニアの将来性に関しては課題もあります。
そのため、Webエンジニアとして生き残っていくには、最新技術の習得や専門性の向上、自走力の醸成など、自身のスキルアップに努めることが必要です。
Webエンジニア需要は高いものの、時代の変化に即応できる人材が求められています。
Webエンジニアを目指す人は、自身の強みを磨き、市場価値を高めていくことが重要でしょう。