フロントエンドエンジニアの仕事とは?現役エンジニアが具体的な業務内容を解説
「フロントエンドエンジニアの仕事内容ってどんな感じ?」
「フロントエンドエンジニアの業務を具体的に知りたい!」
このように思ったことがありませんか?
本記事では、現役のエンジニアがフロントエンドの仕事内容を詳しく解説します。
・フロントエンドエンジニアの年収
・取得したい資格やスキル
理想のキャリアパスを叶える方法も解説しているので、ぜひ最後までお読みください。
目次 (PRも含まれます)
- 1 フロントエンドエンジニアとは
- 2 フロントエンドエンジニアの将来性:近い将来は安泰、長期的には不明
- 3 フロントエンドエンジニアの年収
- 4 フロントエンドエンジニアとして仕事をするうえで必要な知識・スキル
- 5 フロントエンドエンジニアとして仕事をする際の応用的な知識・スキル
- 6 フロントエンドエンジニアが取得したい資格
- 7 フロントエンドエンジニアがプラスアルファで取得したい資格
- 8 フロントエンドエンジニアのキャリアパス
- 9 フロントエンドエンジニアが理想のキャリアパスを叶えるためのステップ
- 10 フロントエンドエンジニアに関するよくある質問
- 11 フロントエンドエンジニアの仕事内容を把握したうえで就職・転職しよう
フロントエンドエンジニアとは
フロントエンドは、ユーザーが直接操作する部分、すなわちWebサイトやアプリの外観やUIを意味します。
ログイン機能でのIDやパスワード入力用の画面作成や、入力する文字の制約などはフロントエンド開発の範疇に入ります。
フロントエンドエンジニアは、広範囲にわたる職種を指す言葉です。主にウェブページの開発を行うフロントエンドエンジニアは「コーダー」と呼ばれます。
主にWebアプリケーションを開発するエンジニアを、「フロントエンドエンジニア」と呼ぶことが一般的です。
フロントエンドエンジニアの仕事内容
フロントエンドエンジニアの仕事内容は、主に以下の4つです。
- レイアウトを考える
- UIを実装する
- APIとの連携を行う
- テスト、デバッグ
レイアウトを考える
フロントエンドエンジニアは、デザイン案をベースにして、HTMLとCSSを活用しレイアウトの構築を行います。
デザイナーが不在の場合、デザイン業務も引き受けることがあります。
HTMLでページをマークアップする際には、どんなカラムを利用するか、左右の表示をどう配置するかといった、レイアウトの詳細な設計作業が必須です。
UIを実装する
次にUIの実装をします。全体のレイアウトが整った後は、細かい部品や文字などを実装していき、UIが形成されていきます。
APIとの連携を行う
APIの設定も大切です。Webアプリ制作の過程で、バックエンドの開発者が作ったデータベースとAPIによる連携が行われます。
フロントエンドの開発では、HTTPリクエストの構造を理解し、APIを使ってデータを取得する方法に精通していなければなりません。
テスト、デバッグ
最後に、テストやデバッグの作業があります。
Webアプリケーションを開発する際には、JavaScriptなどで書かれたコードが正しい挙動をしているかを確認し、問題があれば修正を行います。
これには自動テストや単体テストの実装が含まれることが多いです。
コーダーやマークアップエンジニアとの違い
コーダーやマークアップエンジニアの主な仕事は、渡されたデザインをもとに、企業のホームページやランディングページをコーディングすることです。
コーディングの際には、主に以下の言語を使います。
- HTML
- CSS
- jQuery
コーダーは基本的に、WordPressやランディングページのコーディング(マークアップ)を対応します。
マークアップエンジニアは、デザイナーの意図やサイトの目的を把握したうえで、UXが良くなるよう、改善することもあります。
ただ、どちらもデザイナーからもらったデザインファイルを元に、デザインどおりにHTMLやCSSをコーディングしていく仕事が中心です。
Webデザイナーとの違い
Webデザイナーは、ウェブサイトのデザインを担当する職業です。顧客やユーザーの特徴を踏まえ、UIの構成やカラーリングなどを決めます。
IllustratorやPhotoshopを使い、実際のデザインを決定していきます。
バックエンドエンジニアとの違い
フロントエンドが送信した情報はバックエンドのサーバーが受信します。その次に、データベースへの問い合わせや外部サービスへの接続、難しい計算を含む処理が行われます。
ログイン機能を例にすると、動作する処理は次のようになります。
- ユーザーからID・パスワードを受け取る
- データベース側にそのID・パスワードがあるか問い合わせ
- ログインができるように認証情報を返す
フロントエンドエンジニアの将来性:近い将来は安泰、長期的には不明
フロントエンドエンジニアの将来性を説明していきます。将来性を一概に明るいまたは暗いと判断するのは容易ではありません。
「フロントエンドエンジニアに未来がない」とは、10~20年ほど前から常に言われ続けています。
しかしながら、フロントエンドエンジニアの必要性は今も高まっているのが実態です。
以上のことから、将来性がないとも、確実にあるとも断言できないという状態です。
すぐにフロントエンドエンジニアの仕事はなくならない
最初に、短期的に見た場合は需要は高いことを説明します。
フロントエンドエンジニア、特にコーダーやWeb関連のフロントエンドの技術には、DXを推進する中で多くの企業がITへの投資を拡大しています。
この状況を鑑みれば、需要が高くなっていると思ってもおかしくはないです。需要が増えればフロントエンドエンジニアの作業量も多くなり、単価も高くなります。
また、UI/UXに対する投資が拡大しているという意見もあります。
2000年代に比べ、2020年代におけるアプリケーションはさらに複雑さを増しています。
フロントエンドの開発に失敗すると、ユーザー体験が悪くなるのは必然です。
その結果、数多くの企業がフロントエンドエンジニアを採用し、ユーザー体験を向上させている流れが見られます。
将来にわたってこの風潮が大きく変わることはあまりないと予想されます。ここまで述べてきたのが、前向きな視点です。
長い目では専門性が必要
一方、フロントエンドフレームワークはアップデートが早いという側面もあります。
例えば、ReactやVue.jsなどのJavaScriptのライブラリが特に該当し、最近では以下のような事例が増加しています(2024年4月時点)。
- フロントエンドのフレームワークが人気になってからすぐに廃される
- 唐突に仕様の変更が行われて、その言語をそのまま使い続ける意思決定ができなくなる
上記の流れを踏まえると、フロントエンドフレームワークを導入することに否定的な見方をする企業が増加する可能性があります。
そのうえ、AIによりフロントエンドのコーディング作業が自動的に行われています。
「Visual Studio Code」のような開発エディターでは、AIによる自動コード生成の機能が備わっています。「Github Copilot」はその代表的な例です。
AI機能を駆使してコーディングを行うと、HTMLやCSSへほとんど手を加えずに自動でコーディングが進むようになっています。
すでに、生成AIがWebデザインを学習して、HTMLとCSSを自動生成する事例があります。
そのため、HTMLやCSS、JavaScriptを扱える程度では、フロントエンドエンジニアとして将来的に仕事を確保しようとすると、AIが台頭してくる流れではなかなか難しいと思います。
また、「STUDIO」などのサービスを利用するとエンジニアはコードを一切書かなくても、Webデザインの制作ができる場合があります。
フロントエンドエンジニアの将来性に対する個人的な見解
フロントエンドエンジニアのキャリアを見据えた場合、ただHTMLやCSS、JavaScriptが書ける程度では、将来性は大きく制限されると思われます。
デザインの指示に従ってHTML、CSS、JavaScriptでウェブページを制作する仕事は、AIの知能が向上するに伴い、自動化へと進む可能性があると言えます。
そのため、以下に挙げる経験がなければ、フロントエンドエンジニアとして成功するのは非常に難しいでしょう。
- デザインから入ってコーディングする
- Webアプリケーションのように複数のコンポーネント部品を使って、いろいろなサーバーサイドと組み合わせて作る
高い技術力を誇るフロントエンドエンジニアの未来は非常に明るいと言えます。一方で、低レベルのスキルしかないフロントエンドエンジニアの未来は、暗くなると予想されます。
フロントエンドエンジニアの年収
ここからは、フロントエンドエンジニアの年収を詳しく解説します。
フロントエンドエンジニアの平均年収
フロントエンドエンジニアの年収について、正社員であれば、おおむねこのような範囲になります。
- 新卒~未経験:約350万~450万
- 業務経験3年~5年:約450万~600万
- 6年目以降〜:約600万円〜
まず、フロントエンドエンジニアとしての正社員の収入は、「Reactを使用できる」などという理由で一定の額に設定されているわけではありません。
エンジニア職では、ジュニアレベル(1~3年目)の場合、だいたいこのくらいの単価になるのがほとんどです。
ただ、IT業界の大規模ベンチャーなどでは、未経験であっても高い報酬を支払うことがあります。
逆に言うと、SESや受託事業で大きな収益を上げていない企業は、5年目になって技術的には非常に優れていても、大手ベンチャーの新卒者よりも収入が少ない可能性があります。
管理職やチームリーダーへと昇進すると、800万円以上を目指せるようになるでしょう。
フロントエンドエンジニアの実際の求人例
フロントエンドエンジニアの求人例は以下のとおりです。
案件名 | 【フロントエンド(React/TypeScript)】WEBアプリケーション開発の求人・案件 |
契約形態 | 業務委託 |
単価 | 〜700,000円/月 |
職務内容 | 自社サービスにおける開発業務に対応いただきます。 ・自社Web Applicationのフロント周りの設計/開発/テスト/運用 ・負荷軽減などによるプログラムの適正、改善(高速化) ・成果物のドキュメンテーション化、ノウハウ共有 ・進捗のレポート業務 |
求めるスキル | ・TypeScriptとJavaScript(React)での開発経験 ・HTMLとCSSの使用経験歓迎スキル ・Node.jsでの開発経験 ・ES2018とPromise(async await)の知見 ・BFFアーキテクチャの知見 ・テストの自動化の経験 ・ドキュメンテーション経験 ・サーバーサイド言語(JavaとPHP)の開発経験 ・RDBまたはMongoを使ったシステム開発経験 ・Amazon Web Serviceを利用したシステム開発経験 ・要件定義と画面仕様書の作成 ・エンジニア教育の経験 ・パフォーマンス適正化と改善経験 |
ポジション | フロントエンドエンジニア |
フロントエンドエンジニアとして仕事をするうえで必要な知識・スキル
フロントエンドエンジニアとしてのキャリアを築くには、次に挙げる知識とスキルが必要です。
- プログラミングスキル
- ライブラリの知見
- フレームワークに関する知見
- 開発者ツールを使うスキル
- デザインスキル、UI/UXの知見
- レスポンシブデザインなどのデバイスに関する知識
- CMSに関する知見
- SEOの知見
それぞれ解説します。
プログラミングスキル
フロントエンドエンジニアが習得すべきプログラミングスキルは、以下に挙げられます。
- HTML
- CSS
- JavaScript
- PHP
- Ruby
- Python
それぞれの言語を詳しく紹介します。
HTML
HTMLとCSSはウェブページ制作に利用されます。HTMLはウェブページの構造を定義する言語です。
たとえば、この文章のような記述にはHTMLでpタグが使われます。また、見出しを作成する際には、h2やh3などのタグがマークアップに利用されます。
CSS
CSSは、Webページを構築する際に重要な役割を果たし、HTMLの見た目やレイアウトをカスタマイズする言語です。
HTMLとCSSは継続的に進化しており、最新の技術はHTML5とCSS3です。プログラミング学習の初歩として、HTMLとCSSを活用して画面を構築するのはおもしろいので、これらを優先して学ぶといいでしょう。
JavaScript
JavaScriptはWebページに動きを追加する言語です。
例えば、ボタンを押した際に警告を出したり、アニメーションやスライドショーのような機能を導入する時に使用されます。
以前はJavaScriptがフロントエンドの開発でよく使われていたのに対し、近年ではJavaScriptの進歩によりバックエンド開発にも適用されるようになってきました。
基本的に、ReactやjQuery、VueといったフロントエンドフレームワークはJavaScriptで開発されます。
また、JavaScriptを静的型付け言語へと変えることが可能なTypeScriptというフレームワークもあります。
しかし、将来Webアプリケーションの規模の大きな開発に参加するのであれば、学んでおくと有利な言語です。
PHP
データベースから企業情報などを取得する時、PHPをバックエンド言語として使用する必要があることがよくあります。
コーダーを目指すなら、WordPressとPHPのスキルを習得することをおすすめします。
反対に、コーダーを目指さないなら、PHPを深く学ぶ必要はありません。
Ruby
Rubyは日本製のプログラミング言語で、松本行弘氏によって開発されました。
一般的に、フロントエンドエンジニアがRubyを学ぶ必要性は低いですが、バックエンドエンジニアと連携してAPIの開発を行う場合には、Rubyの知識が役立つことがあります。
Python
PythonはWeb開発のみならず、データサイエンスやAI開発にも広く用いられる言語として知られています。
フロントエンドエンジニアにとってPythonの勉強は不可欠なものではありませんが、サーバーサイド開発に携わる機会がある時、Pythonの知識はプラスになることもあります。
フロントエンドの開発者がサーバーサイドのプログラミング言語を習得することは、直接的には必須ではありませんが、プロジェクトの全体像を把握し、チーム間のやり取りを円滑にするのに役立ちます。
ライブラリの知見
フロントエンドエンジニアがJavaScript等のプログラミング言語を使用して開発する時、多種多様なライブラリを駆使することがあります。主要なライブラリには次のようなものがあります。
- jQuery
- React
個々の特徴や使用法の違いを理解しておきましょう。
そして、ライブラリのバージョンアップに対応できるように、常に最新の情報をつかんでおくことが必要です。
フレームワークに関する知見
CSSフレームワークは、CSSにおいてよく利用されるパーツや色を簡単に実装可能なものです。
一例を挙げると、CSSフレームワークを適用することにより、以下を手軽に実現することが可能です。
- ボタンの色を青色にする
- ボタンを押した時にローディングアクションをつける
CSSフレームワークで古くから使われているのは「Bootstrap」です。
最近では、JavaScriptのフレームワークと並行してTailwindというCSSフレームワークの使用が一般的になってきました。
どちらを選ぶか明確なおすすめはしにくいですが、Bootstrapを使いこなしたら、Tailwindに挑戦するのが良いかもしれません。
開発者ツールを使うスキル
フロントエンドの技術者にとって、開発ツールの活用はとても重要な技能です。
フロントエンドエンジニアは、ブラウザ内で直接デバッグをするために開発者ツールを使用します。
デベロッパーツールの使用により、次のことを検証できます。
- フロントエンドのログ
- APIリクエストの正確性
- ネットワークの通信状態
「F12キー」を使用するか、右クリックで「検証」を選択することで、大半のブラウザで開発ツールが利用可能になります。
デザインスキル、UI/UXの知見
フロントエンドエンジニアには、Webデザインの能力とUI/UXの知識が必要とされています。Webデザインが可能であれば、デザインからコーディングまで一連の作業を行えます。
アプリ制作におけるデザインとフロントエンドのコーディングを一括で担当できると、大いに重宝されます。加えて、デザインのコンポーネントを制作することもできます。
さらに、UI/UXに関する知識を有することが大切です。利用者が直感的に理解しやすく、快適に操作できるユーザーインターフェースを設計するスキルが求められます。例えば、「Fの法則」を把握していることが望ましいです。
UI/UXの原理や方法を修得すれば、利便性に優れたサイトやアプリケーションを作成するときに知識を活用できます。
フロントエンドエンジニアには、コーディング能力だけではなく、デザイン能力とUI/UXに関する知識も必要とされます。
レスポンシブデザインなどのデバイスに関する知識
レスポンシブデザインの知識も、フロントエンドエンジニアには必須です。
現在のWeb開発においては、いろいろな画面サイズのデバイスへの対応が求められます。各デバイスに適した表示ができるようにデザインの調整が不可欠です。
レスポンシブデザインを実装するためには、CSSのメディアクエリを活用して、デバイスの画面サイズに応じて以下の通り様々なスタイルを適用する必要があります。
- 大きなディスプレイ:情報を2列で表示
- スマートフォンなどの小さい画面:1列で表示
レスポンシブデザインの適切な実装のためには、異なるデバイスで実際にウェブサイトをチェックします。
レスポンシブデザインの知見がある場合、あらゆるユーザーに適した使いやすいソフトウェアを制作することが可能です。
CMSに関する知見
CMSというのは「コンテンツ マネジメント システム」の略称で、企業のウェブページやブログなどを簡単に制作できるサービスのことです。
フロントエンドエンジニアにとって、CMSを構築する機会は非常に多いです。企業のホームページを作る際は、基本的にWordPressを利用するケースが多いからです。
WordPressではHTMLやCSSのコーディングをする機会が多いため、実装手順や方法について詳しく知っておくことが望ましいです。
SEOの知見
「Search Engine Optimization」の略であるSEOは、GoogleやYahoo!等の検索エンジンで上位に表示させる技術を指します。
一般に、SEOの取り組みはWebマーケターによって行われることがほとんどですが、フロントエンドエンジニアにとってもその重要性は高いです。
ホームページのマークアップ方法しだいで検索結果の順位が変化する場合があるからです。
たとえば、以下知識の理解は欠かせません。
- noindex:Googleで検索したページに対してGoogleに登録するかどうかを決める
- nofollow:リンクジュース(リンク先に対しての評価)を渡すか渡さないかを決める
titleタグやh1、h2タグは、Googleがコンテンツを評価する際に重要な役割を果たします。
これらの知識を駆使してマークアップを行うことが非常に大切です。
フロントエンドエンジニアとして仕事をする際の応用的な知識・スキル
フロントエンドエンジニアにとって、できれば学んでおきたい知識やスキルを紹介します。
- バックエンドに関する知識
- 要件定義・機能設計のスキル
- AIの知見
- プロジェクト管理のスキル
- BaaSの知見
- PWAの知見
- SPAの知見
- WebAssemblyの知見
順番に見ていきましょう。
バックエンドに関する知識
バックエンドはフロントエンドと違って、サーバーやデータベース、APIなどにリクエストを出す言語です。
以下は、バックエンドプログラミングにおける人気のある言語です。
- PHP
- Ruby
- Java
- C#
JavaScriptがフロントエンド開発専用の言語としてよく使われていましたが、今ではNode.jsの開発が活発で、サーバーサイドでの使用も増えています。
大きな開発プロジェクトに参加する際には、RubyやPythonのような他のプログラミング言語を習得しておくことをおすすめします。
要件定義・機能設計のスキル
要件定義と機能設計を熟知していると、上流工程で働くフロントエンドエンジニアになることができます。
要件定義のプロセスでは、クライアントが直面している課題やニーズを明確にし、それを克服するWebサイトやアプリケーションの条件を定義します。
実現性や開発費、所要時間を踏まえつつ、システムの全体的な概要を具体化していきます。
機能設計の段階で、要件定義をベースに、次のような詳細な仕様を定めます。
- アプリの機能や性能
- 管理画面の構成
- 操作方法
また、詳細設計のときに、画面のレイアウトやプログラミングに不可欠なソースコードの大枠の資料を作ります。
プログラミング技術のみならず、要件定義や機能設計を行うことができれば、フロントエンドエンジニアとしての需要が高くなります。
AIの知見
AIを活用することは生存戦略の一環です。
現代において、フロントエンドのコーディングはAIによって大部分が可能となっています。その結果、AIを活かして個人の生産性を高めることが重要です。
また、AIにも作成可能なコードを何年にも渡って手がけていると、雇用者側からは「AIで足りるのでは?」との見方をされかねません。
これにより、フロントエンドエンジニアとしての仕事の機会が徐々に減少してしまう可能性があります。
プロジェクト管理のスキル
プロジェクトの管理ができれば、上流工程への参加も可能です。
アプリやWebサイトの制作プロセスには、多くの職種の人々が参加し、多種多様な工程が含まれるため、進行管理が求められます。
プロジェクト管理では主に以下を行います。
- スケジュール作成
- メンバーの役割分担
- スケジュール・進捗管理
- リソース管理
- 品質管理
プロジェクトを円滑に運営できる能力がある場合、プロジェクトリーダーやマネージャーへ昇進する可能性があります。
BaaSの知見
BaaS(Backend as a Service)に詳しいと、フロントエンドエンジニアにとって非常にメリットがあります。
バックエンドエンジニアの手が不足している状況下でも、この方法によりフロントエンド側は複雑なバックエンドプロセスを直接扱えるようになります。
たとえば、「Firebase Authentication」というGoogleのサービスは、認証のプロセスを容易に実装可能にするために作られています。
これを活用することにより、フロントエンドエンジニアは煩雑な認証ロジックを自ら記述することなく、わずかなコードでセキュアな認証システムを実装できます。
BaaSは、リソースが少ないスタートアップや小規模なチームで特に役立つものです。
PWAの知見
PWAとは「Progressive Web Apps」の略称で、ネイティブアプリのように使えるスマホ向けのWebサイトやWebアプリのことです。
Googleが促進している技術は、ネイティブアプリのようなスムーズなユーザー体験をWebアプリケーション内で実現することを目指しています。
PWAの主な特徴としては以下のとおりです。
- ホーム画面への追加
- フルスクリーン表示
- プッシュ通知の受信
- オフライン対応
- インストール不要でブラウザから直接アクセス可能
Service Workerという技術はJavaScriptの実行環境の一つであり、フロントエンドエンジニアにとってはこの技術の理解を深めなければなりません。
SPAの知見
また、シングルページアプリケーション(SPA)に関する知識も大切です。
SPAは、ページの再読み込みなしに数多くの機能を提供する方法であり、フロントエンド開発のトレンドの一つです。
SPAの活用により、利用者に対して円滑でインタラクティブな体験を提供し、スマートフォンアプリに匹敵する使い心地のWebアプリケーションを実現できます。
SPA開発では、React、Angular、Vue.jsといった最新のJavaScriptフレームワークやライブラリへの理解が欠かせません。
これらの技術を駆使することで、下記の作業を効果的に進めることができます。
- データのバインディング
- コンポーネントの管理
- ルーティング処理
フレームワークを十分に理解しているフロントエンドエンジニアは、SPA開発が大幅に効率化され、より複雑なアプリの開発も可能になります。
WebAssemblyの知見
WebAssemblyはブラウザ上で作動する言語であり、WebAssemblyで開発された機能は素早く作動し、ユーザーエクスペリエンスの向上に貢献します。
加えて、WebAssemblyはJavaScriptとの併用をベースにして設計されているのです。
JavaScriptと同時に動作し、既存のWebアプリケーションに段階的に組み込むことができるため、今後WebAssemblyを使った開発が増えると予想されます。
フロントエンドエンジニアが取得したい資格
フロントエンドエンジニアにおすすめの資格は、以下の通りです。
- 基本情報技術者試験
- HTML5プロフェッショナル認定試験
- Webクリエイター能力認定試験
- Web解析士
- Webデザイン技能検定
それぞれ順番に見ていきましょう。
基本情報技術者試験
ITパスポートと同様に、基本情報技術者試験も独立行政法人情報処理推進機構(IPA)によって行われる認定試験です。
経済産業省によって認定された国家資格であり、就職や転職の際にも役立ちます。
この試験では、ITエンジニアが把握しておくべき基礎知識が問われ、初心者におすすめの資格となっています。
さらに、ITの領域だけでなく、マネジメントや会計のスキルも必要とされているので、ITパスポートと比較して実践的な知識が豊富になっています。
IT業界で活躍するための基礎知識を習得できるので、これからエンジニアになりたい人におすすめです。
HTML5プロフェッショナル認定試験
HTML5プロフェッショナル認定試験は、HTML5やCSS3、JavaScriptを駆使してHTMLのドキュメント作成やデザインを学べる資格です。
試験にはレベル1とレベル2の2つが存在し、両方とも最新のマークアップ技術を習得できるという特徴があります。認定は5年間有効で、期間が過ぎると再認定が必要になります。しかし、5年おきに最新の技術を学べるため、知識のアップデートには最適です。
HTML5プロフェッショナル認定試験は、テストセンターやオンラインで受けられるため、受験しやすいです。
Webクリエイター能力認定試験
Webクリエイター能力認定試験は、株式会社サーティファイ主催の認定資格です。
Webサイトやページを作成する上でフロントエンドエンジニアにとって欠かせないスキルや知識を修得できる資格です。
また、HTMLコーディングのスキルのほかに、デザインについて学べる資格でもあります。Webデザインを体系的に理解できるので、Webエンジニアの初学者にもおすすめです。
試験レベルはスタンダードとエキスパートの2種類が提供されており、自身の知識やスキルの習得状況に基づいて選ぶことができます。
Web解析士
Web解析士とは、WACA(一般社団法人 Web解析士協会)が提供する公式な認定を受けた資格のことです。
Webサイトから得られるデータや数値を用いて、原因を分析し、改良を加えることがWeb解析の目的です。Web解析士は、この分野の専門家であり、Webサービスを成功させるために不可欠です。
指示に沿ったサイトの構築や改善作業を超え、自分でWebの問題を見つけて解決する能力を身につけられるため、フロントエンドエンジニアのキャリアをさらに高めたい人にもおすすめです。
Webデザイン技能検定
Webデザイン技能検定は、厚生労働省が監督する国家資格の一つです。
Web分野で唯一の国家資格で、基本的なWeb技術や実務での能力向上に役立つ資格です。
Web業界は視覚的な情報に依存する傾向がありますが、標準化団体の基準に従った知識を習得することで、基本をしっかりと築くのに大変有効です。
未経験の方でも資格取得が可能で、これが転職やスキルアップの際に大きなメリットとなります。また、試験は難易度が3つに分かれており、自分の実力に合わせたレベルで受験することができます。
フロントエンドエンジニアがプラスアルファで取得したい資格
フロントエンドエンジニアがスキル向上のために取得すべき資格について紹介します。
- PMP
- Ruby技術者認定試験
- CIW JavaScript Specialist
どのような資格かそれぞれ解説します。
PMP
PMPは「Project Management Professional」の略語で、プロジェクトマネジメントの分野における国際的な資格です。この資格を獲得することで、プロジェクトマネジメントに関する専門的な知識が認められます。
PMPの資格を得るためには、実際のマネジメント経験と一定の教育プログラムを修了することが受験の条件となります。試験問題は「人」「プロセス」「ビジネス環境」の3つの分野から出されます。
将来プロジェクトマネージャーやディレクターといった、プロジェクト全体の管理職を目指しているなら、PMPの取得を考えると良いでしょう。
国際的な資格でありながら、試験を日本語で行うことができます。資格の更新は3年ごとに必要です。
Ruby技術者認定試験
Ruby技術者認定試験は、一般財団法人Rubyアソシエーションが提供する認証プログラムです。
この資格は、Rubyに関する知識及び技術力を認定するもので、システム設計、開発、運用に携わるエンジニアにおすすめです。
試験にシルバーとゴールドの2つのレベルが存在し、ゴールドレベルを受験するためには、シルバーレベルでの合格が必要です。
合格しやすいとされ、Rubyに関する基本情報の習得が可能なため、プログラミングの入門者や業務で活用したい方には、この資格の習得がおすすめです。
CIW JavaScript Specialist
CIW JavaScript Specialistは、インターネットやWebに関連する国際認定資格「CIW(Certified Internet Webprofessional)」の1つです。
国際的な資格であるため、日本国内だけでなく、世界中で活用できるのが特徴です。
JavaScriptにおける制御や関数、変数、デバッグといった基礎的な技術や知見を習得可能です。
JavaScriptは、Webブラウザで機能するスクリプトの1つであり、フロントエンドエンジニアなら習得しておく価値のある言語と言えます。
しかし、CIWはアメリカの会社が管理している資格であるため、日本語でのページやテスト問題が存在しないことを覚えておく必要があります。
CIW JavaScript Specialist公式サイト
フロントエンドエンジニアのキャリアパス
フロントエンドエンジニアのキャリアパスとして主に考えられるのは、以下の通りです。
- Webデザイナー
- サーバーサイドエンジニア
- フリーランスのフロントエンドエンジニア
それぞれのキャリアパスを見ていきましょう。
Webデザイナー
フロントエンドエンジニアとしてのキャリアの選択肢の一つに、Webデザイナーがあります。
フロントエンドのスキルを応用してデザインを行うと、機能的かつ見た目もきれいなウェブサイトやアプリケーションの開発が可能です。エンジニアとの円滑なやり取りもできます。
デザイナーの職務では、デザインの企画・策定能力、デザインツールの扱い、色彩理解やレイアウト技術などの能力が必要とされています。
グラフィックデザインの初歩的な知識やこれまでの経験が、エンジニア時代よりデザイン関連のスキルアップに役立つことになります。
サーバーサイドエンジニア
サーバーサイド(バックエンド)エンジニアも、フロントエンドエンジニアのキャリアパスの一つとして考えられます。
サーバーサイドエンジニアは、Webアプリやサービスのバックエンドで、データベースやAPIを設計し開発する仕事をしています。
フロントエンドの開発経験を持っていると、クライアントサイドの仕組みがよくわかっているので、サーバー側の作業をスムーズに進めることができます。
ただし、フロントエンドとサーバーサイドで使われる言語は違うことが多いため、サーバーサイドの言語を学ぶことが不可欠です。
さらに以下の知識も不可欠です。
- データベース設計
- API設計
- セキュリティ対策
- サーバー運用
フロントエンドとバックエンド、2つの領域の技術を習得しスキルアップすれば、さまざまなプロジェクトへの対応が可能になり、キャリアの向上も期待できるでしょう。
フリーランスのフロントエンドエンジニア
フロントエンドエンジニアとしてのスキルと実務経験を積んでから、企業に所属しないでフリーランスを選ぶこともできます。
フリーランスの魅力は、働き方や給与の自由が広いことにあります。個人のライフスタイルに合わせて作業を選べ、プロジェクト単位で高い報酬を得られる仕事に参加できます。
一方で仕事を探したり、納期や価格の話し合い、事務作業など、全てを自分一人でこなさなければならないというデメリットも存在します。
フリーランスとして成功するには、はじめは企業に勤めながらポートフォリオを強化し、スキルと実績を積むことをおすすめします。
クラウドソーシングやエージェントを利用して仕事を手に入れ、段階的に独立を計画すると、経済的にも技術的にも安心感があります。
フロントエンドエンジニアが理想のキャリアパスを叶えるためのステップ
理想のキャリアパスを叶えるため、フロントエンドエンジニアが踏むべきステップとしては、以下があります。
- 実現したいライフスタイル、キャリアを考える
- 必要なスキルを習得する
- フロントエンドエンジニアとして転職・独立をする
実現したいライフスタイル、キャリアを考える
フロントエンドエンジニアが理想のキャリアパスを叶えるには、まず自分が実現したいライフスタイルやキャリアを明確にします。
たとえば、フリーランスとして柔軟な働き方を実現したい場合、独立に向けたスキルアップが欠かせません。
また、Web業界を離れてAI分野や別の領域へキャリアチェンジしたい人は、その分野に特化した知識やスキルを身につける必要があります。
このように、自分の目指す方向が分かれば次に何をすべきかが見えてきます。
必要なスキルを習得する
実現したいライフスタイルやキャリアを考えたら、必要になるスキルを習得します。
以下のように目指す方向に合わせ、さらなる知識とスキルを身につけましょう。
- フルスタックエンジニアを目指す:バックエンド開発など自分に足りない知識や技術の知見
- マネジメント職を目指す:プロジェクト管理能力など
フロントエンドエンジニアとしての基礎力を前提としつつ、専門性を高めていくことで、理想のキャリアパスへと近づけます。
フロントエンドエンジニアとして転職・独立をする
必要なスキルを習得したら、自分の希望に応じフロントエンドエンジニアとして転職や独立をします。
転職を選ぶ場合は、目指す企業や職種に合わせて履歴書やポートフォリオの準備が必要です。
独立を選ぶ場合は、個人事業主として開業する手続きと並行して、営業に力を入れる必要があります。以下のように、さまざまなルートで案件を獲得できるよう進めましょう。
- クラウドソーシングの活用
- SNSでの発信
- フリーランスエージェントの利用
いずれを選んだとしても、フロントエンドエンジニアとしての技術力は必須です。加えて、コミュニケーション能力や向上心も大切な要素となります。
フロントエンドエンジニアに関するよくある質問
フロントエンドエンジニアに関してよく寄せられる質問に答えていきます。
- フロントエンドエンジニアになるにはどういったスキルが必要?
- フロントエンドエンジニアを目指すには何からスタートするべき?
フロントエンドエンジニアになるにはどういったスキルが必要?
フロントエンドエンジニアになるには、主に次の技術が必要です。
- HTML、CSS、JavaScriptのスキル
- フレームワークやライブラリ
- 開発ツールの使用経験
- UIデザインの知見
さらに、バックエンドの開発やデータベースに関する基礎的な理解があると、転職の際に有利になる場合もあります。
フロントエンドエンジニアを目指すには何からスタートするべき?
フロントエンドエンジニアを志望する場合、HTMLとCSSから学習を始めることをおすすめします。その次に、JavaScriptの基礎知識をつけることが大切です。
これら3つをしっかりと把握すれば、Webサイトの基礎を構築できるようになります。
フロントエンドエンジニアの仕事内容を把握したうえで就職・転職しよう
フロントエンドエンジニアは、主にウェブサイトやアプリなどのUIを作ります。
HTMLやCSSを使いこなす必要があり、それに加えてバックエンドなどの知識もあると、現場で重宝されます。
必要な知識は多岐にわたりますが、新しいことが好きな人にとってはやりがいのある仕事です。
自分に向いていると思ったら、ぜひ転職や就職を検討してみてください。